2013年02月26日 冬山登山の登竜門綿向山
綿向山には冬山登山の初心者が大勢やってくる。この山には小さいが無人小屋が設置され、万が一トラブルに遭遇しても逃げ込めるからだ。御幸橋駐車場から綿向山頂上の間に、ヒズミ谷出会小屋・あざみ小舎・五合目小屋の3つの避難小屋が整備されている。
1月下旬、山仲間10人ほどで綿向山へ出掛けた。毎年では無いが、冬季になると、樹氷を楽しみにしている山である。
快晴に恵まれたのか、この日は、「モンベル」の文字が入った防寒具に身を包んだ登山者が、続々と詰め掛けてきた。そんな中、黒っぽい上下のジャージーを着た男が、出発してすぐの水木砂防の堰堤あたりで、小走りに我々を抜いていった。
ヒミズ谷出会小屋の前を通り、橋を渡ると植林帯のジグザグ道が始まった。この急登を登り詰めると、竜王山の山麓を巻くようにしてつけられた林道にでた。ここで、一休みした。積雪も増してきたのでアイゼンを装着していたところ、例の男が下って来た。この時は、まだ気にも留めていなかった。更に樹林帯を登っていくと奥の平橋から登ってくる山道と合流した。赤い屋根の「花咲き鐘」が設けられた五合目小屋についた。
七合目には行者堂があり、行者コバといわれている少し平坦なところにやって来た。谷を行く夏道と冬季用の尾根道の分岐点になっている。金明水の水場を通り、最後石段を上りきるルートは冬季危険なので、閉鎖されていた。それにも拘らず、トレースが付いていた。この危険なルートを行くひとは、それなりの覚悟をしなければならないだろうと話していたところ、またもや例の男が抜いていった。このころになると、この男の存在が気になってきた。
ここから、冬季用の尾根道となり、急登が始まった。例年この辺りから、樹氷の華がみられるのだが、全く無かった。3日前には、仲間の下見で、樹氷が見事であったようだ。足元をよく見ると、氷の結晶の破片が散乱、樹氷はもろく、風などで落下してしまったようだ。「霧氷でなく無氷」と軽い冗談を聞きながら、自然は人の思い道理ならないものだと思った。
綿向山(1110m)の頂上から見る風景は、寒々とした世界が広がっていた。眼前に、尾根続きの存在感のある山が雨乞岳。 左の三角錐の山容をした急峻な山が鎌ヶ岳である。古くは「冠峰」や「釜嶽」と呼ばれていた。積雪量は多くなかったが、頂上は寒いので早々に下山していった。急勾配なので、アイゼンの爪を利かせながら下っていった。また例の男が雪急勾配を滑りながら走り抜けていった。

綿向山は、鈴鹿山系の最も西に位置し、湖東の平野の展望も楽しめる山である。五合目小屋まで降りてくると、身体の芯まで冷える冷たさも和らぎ、辺りの様子を見る余裕もできてきた。 右から竜王山の山並みの向こうに近江日野の集落・遠くには琵琶湖まで眺められた。
我々は、防寒着を着込み、アイゼンを付け冬用装備をしてこの山に臨んだが、上下簡単な衣服で駆け抜けていく強靭な男性であった。何回も追い抜き、また出会った。
我々は標高差760m・歩行距離4.5kmを、上り2時間、下り1.5時間、休みなど含めて4時間以上を要した。この間を正確ではないが、5往復したようだ。最後に会った時、まだ頂上に行って来ると言い残して消えていった。片手に一斤の食パンの包みを持ち、飲料水も持たずに。この日だけで、彼は6往復以上するようだ。
1月下旬、山仲間10人ほどで綿向山へ出掛けた。毎年では無いが、冬季になると、樹氷を楽しみにしている山である。
快晴に恵まれたのか、この日は、「モンベル」の文字が入った防寒具に身を包んだ登山者が、続々と詰め掛けてきた。そんな中、黒っぽい上下のジャージーを着た男が、出発してすぐの水木砂防の堰堤あたりで、小走りに我々を抜いていった。
ヒミズ谷出会小屋の前を通り、橋を渡ると植林帯のジグザグ道が始まった。この急登を登り詰めると、竜王山の山麓を巻くようにしてつけられた林道にでた。ここで、一休みした。積雪も増してきたのでアイゼンを装着していたところ、例の男が下って来た。この時は、まだ気にも留めていなかった。更に樹林帯を登っていくと奥の平橋から登ってくる山道と合流した。赤い屋根の「花咲き鐘」が設けられた五合目小屋についた。
「花咲き鐘」が設けられた五合目小屋

七合目には行者堂があり、行者コバといわれている少し平坦なところにやって来た。谷を行く夏道と冬季用の尾根道の分岐点になっている。金明水の水場を通り、最後石段を上りきるルートは冬季危険なので、閉鎖されていた。それにも拘らず、トレースが付いていた。この危険なルートを行くひとは、それなりの覚悟をしなければならないだろうと話していたところ、またもや例の男が抜いていった。このころになると、この男の存在が気になってきた。
ここから、冬季用の尾根道となり、急登が始まった。例年この辺りから、樹氷の華がみられるのだが、全く無かった。3日前には、仲間の下見で、樹氷が見事であったようだ。足元をよく見ると、氷の結晶の破片が散乱、樹氷はもろく、風などで落下してしまったようだ。「霧氷でなく無氷」と軽い冗談を聞きながら、自然は人の思い道理ならないものだと思った。
行者コバ付近の冬季用の尾根道

綿向山(1110m)の頂上から見る風景は、寒々とした世界が広がっていた。眼前に、尾根続きの存在感のある山が雨乞岳。 左の三角錐の山容をした急峻な山が鎌ヶ岳である。古くは「冠峰」や「釜嶽」と呼ばれていた。積雪量は多くなかったが、頂上は寒いので早々に下山していった。急勾配なので、アイゼンの爪を利かせながら下っていった。また例の男が雪急勾配を滑りながら走り抜けていった。
綿向山(1110m)の頂上からの眺望

綿向山は、鈴鹿山系の最も西に位置し、湖東の平野の展望も楽しめる山である。五合目小屋まで降りてくると、身体の芯まで冷える冷たさも和らぎ、辺りの様子を見る余裕もできてきた。 右から竜王山の山並みの向こうに近江日野の集落・遠くには琵琶湖まで眺められた。
五合目小屋からの湖東の平野の展望


我々は、防寒着を着込み、アイゼンを付け冬用装備をしてこの山に臨んだが、上下簡単な衣服で駆け抜けていく強靭な男性であった。何回も追い抜き、また出会った。
我々は標高差760m・歩行距離4.5kmを、上り2時間、下り1.5時間、休みなど含めて4時間以上を要した。この間を正確ではないが、5往復したようだ。最後に会った時、まだ頂上に行って来ると言い残して消えていった。片手に一斤の食パンの包みを持ち、飲料水も持たずに。この日だけで、彼は6往復以上するようだ。
綿向山の地図
Posted by
nonio
at
07:16
│Comments(
0
) │
滋賀県の山
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。