2021年05月17日    現れた比良山系のモルゲンロート

 
 現在の私は、もっぱら手短な三上山に出かけるくらいだ。 かつて、北・南アルプスなどに出かけた。夜が明けきらない早朝に、出現する『モルゲンロート』に感激したものである。どうしてドイツ語の「Morgenrot」と言うことになったのか知らないが、「Morgen」とは「朝」、「rot」は「赤い」と言う意味だ。

 東の空の地平線から赤い光が山を照らし始めると、急峻な岩稜や岩峰が赤く染まり、山がこの上なく美しく見える瞬間がある。でも、瞬く間に元の色に褪せてしまう。
この限られた時にしか見ることのできない光景を眺めていると、大自然の神秘であり、畏敬の念など様々な感情を呼び呼び起こしてくれる。
 そして、「地球が動いているのだ」とひときわ実感できた────

やはり、その場所は、涸沢カール。主峰奥穂高岳をはじめとして、涸沢岳、北穂高岳、前穂高岳、西穂高岳の山々からなっている穂高連峰が、赤く染まる様は圧巻であった。

 それはそうと、「滋賀県の山々でも、真っ赤な山肌」との思いを秘めながら、それとなく伺っていた。
そんな矢先、夕方、三上山から帰宅途中、真紅のバラのように染まった“城山”を眼にした。アーベントロートの出現だ。咄嗟にシャッターを切った。アーベントロートとは、ドイツ語で「abend」は「夕方」、「rot」は「赤い」。

 これを契機に、野洲川から比良山系にモルゲンロートを求めて、朝焼けが起これば日参した。そんなことを繰り返していた時だった。いとも簡単に、比良山系が赤く染まり、瞬く間に消えていった。

 どのような条件が揃ったら真っ赤な山肌が発生するのか、そのメカニズムはよくわからないけど推察してみると。
太陽光は、空気層を通過する際、波長が短い青色は散乱しやすいが、波長が長い赤い色はかいくぐってくる特性をもっている。
例えば、太陽光が地球に対しての入射角が浅いと、大気層の通過距離が長くなる。朝夕がこの状態になる。
とは言うものの、必ず空が赤くなる朝焼け・夕焼けが出現するわけでもない。
雲や霧があると、大気の分子や水蒸気分子など遮蔽物によって、一層短い波長が散乱して、初めて赤く染まった朝焼け、夕焼けになるようだ。
 更に、山肌が真っ赤に見えるには、この長い波長の光が山肌から反射してこなければならない。極めて条件がそろわなければならない。

比良山系のモルゲンロート
現れた比良山系のモルゲンロート
これらの写真は、「城山のアーベントロート」・「北岳のアーベントロート」・「穂高連峰モルゲンロート」
現れた比良山系のモルゲンロート 現れた比良山系のモルゲンロート 現れた比良山系のモルゲンロート








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