2019年01月04日    第15回琵琶湖一周(近江今津~安曇川駅)/垂直材のある曲弦ワーレントラス橋梁

 
 2012年琵琶湖一周を開始したが、いまだ、道半ばをほんの少し進んだところである。 大勢で第一歩を踏み出したのに、今や参加者は4~5名に。残った仲間は、滋賀県住人として、「この機会をとらまえて、琵琶湖そのものを自分の足で確かめたい」との夢を持っているものだけに絞られてきた。

 何はともあれ、齢も重ねてきた仲間が出発して7年目。おのずと、歩行距離が短縮気味になり、一周を完歩することすら危うくなってきていた。加えて、安曇川の影響を受けて、この辺りの地形は琵琶湖に食い込んでいる。湖畔沿いの迂回道路を進むには時間も要し、JR湖西線とは離れだしてきている。  こうしたことから、新旭風車村や安曇川河口の船木岬などに寄らずに、ショートーカット気味に前進させることにした。

 第15回琵琶湖一周
 コース        :JR近江今津駅~新旭駅~安曇川駅
 所要時間 距離   : 約3時間 約距離 9.6km 

  この辺りで育った仲間 H氏が、道案内を買って出た。 JR近江今津駅から湖岸沿いの道路から、彼が学んだ小学校・中学校などをなぞるように西近江路(県道558号)をすすんだ。そして、新旭駅を経由してJR湖西線沿いの道路を縫うようにして安曇川駅に到着した。

 彼が我々に見せたいものがあった。年期の入った橋梁である。手前に桁橋が架かっており、後方が目当ての垂直材のある曲弦ワーレントラス構造であった。Warren trussとは、考案者の名前である。

 ワーレントラス形式は、トラスを横から見た時、斜材の向きを交互にしたラチス梁が八の字のように連続して見えるシンプルな構造である。昭和になり資材不足の我が国では、部材が節約でき軽量化を果たせるワーレントラスが主流となった。
ところで、長スパンの橋梁では、桁高が高くなり、それに比例して各部材が長く、太くなってしまうので、垂直材を入れて強度を補ったようだ。
まさしくこの橋も同特徴を持った構造である。尚、ハの字の頂点を繋ぐ上弦材が曲線になっているので、ワーレン曲弦トラスと呼ばれている。

 さて、この構造物何時頃、製作されたのか興味があり、トラスにつけられた銘板を読み取ろうとしたが、腐食が激しく読み取れなかった。
その後調べた結果、高島市役所発行「広報たかしま」平成17年12月によれば、安曇川大橋は、橋梁に「昭和八年 汽車製造株式会社 製作」と刻まれた鉄板が取り付けられていて、現在の橋が昭和8年に開通したとの記載があった。

 さて、私が注目したのは、現在ではほとんど見かけないリベット工法で鋼材を接合させていた。 ほぼ、昭和25年以前の造船・建築・橋梁など大型の各種構造物の鋼板の接合は、赤熱加熱した鉄鋲を部材に差し込んで、リベットハンマーで頭部を叩いて鋼板を一体化させていた。当時、溶接技術が未熟な時代には、分厚い鋼材の接合はリベット工法だったのである。

 既に、一部のリベットが折損したのか、信頼性が高いHTボルトに取り換えられていた。が、85年の長きに渡って加締められたリベットが、いまだに健在とは、驚きであり、貴重な構造物に出合えて、満足だった。

  目的地の安曇川駅前の駐車料金は、終日が、百円コイン3枚。ここは、何もかもの時間がゆったりと刻んでいるところだった。

第15回琵琶湖一周(近江今津~安曇川駅)/垂直材のある曲弦ワーレントラス橋梁
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 前時代ものの構造物は思わぬ出会いであった。が、蛇谷ヶ峰の整った美しい姿であり、歩んできた海津大崎と東山からの湖北独特の冷たい風を頬に受けたことも忘れ難く、道路に埋め込んだ消雪パイプの散水テストが、一層この地の冬の厳しさを物語っていた。

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Posted by nonio at 09:57 │Comments( 0 ) 琵琶湖一周
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