2020年09月15日   今年も咲いたミヤマウズラ/三上山

  
 私にとってミヤマウズラは、気になる山野草のひとつ。
今年も、Kさんから「19ケも咲いた」とうれしい便り。
いそいそと、三上山の知る人ぞ知る別世界へ。

いつもの場所より奥まったところで、花を咲かせていた。
シダ類の中にひそまって、2本の顔を出していた。
先だって、いつものところからも、3本にょきにょきと伸び、花を咲かせた。

今年は、なぜ、こんなに咲かせるのだろうか?
来年、再来年も、ずっと咲くようにと、願うのだが・・・・・。









2019年12月12日   うすひらたけ/三上山のキノコ

   三上山の山中で、ボランティア仲間と、立ち話をしていた。
 そこに割って入ってきた見知らぬ人が、「近くで薄平茸(うすひらたけ)を採った」と言いながら、Kさんにビニール袋を手渡した。

「白い色のキノコは珍しいなぁ~。食べられるの」と、私が疑い深く話しかけると
地元の人なのであろう、「この辺で食べられるキノコは、10ケほど知っている」と自慢げに話してきた。
「そのキノコどこでとれた」と尋ねると「東屋のあるT字路」と言った。

 私は、三上山をかなりの頻度で訪れるが、上って降りてくるだけの単調なものである。快汗と爽快感が得られるが、目新しい興味を抱くことは、ほとんどない。そんな中、食べられるキノコの在りか探しは、そそられる問いかけとなった。 

 大抵、珍しい山野草や、キノコなど自生している場所は、真面に言わない。誰もが秘密にしておきたいものだ。東屋といっても、かなりあり、T字路はいたるところにある。

 取り敢えず、「東屋」という言葉が先に口にしたので、5ケ所ほどの周辺を念入りに歩き回った。更に、キーワード「東屋」そして「T字路」を満たすところを、隈なくさがした。だが、見出せない。「東屋」そして「T字路」は、AND条件ではなさそうであった。
 
 無暗に探しても徒労に終わるので、対象物が「白色」であったことを着目してみた。秋の褐色のくすんだ色の背景色の中で、白色探しは容易であった。丁寧に「東屋」周辺の雑木林を一本ずつ根元を見回ることにした。
 幸運にも二股の生木の一方が切株になっており、この枯れかかったところに、すぐに白いキノコを見出した。 やはり、東屋とT字路とは、かなり離れていた。
 
 kさんに写真を送信して確認してもらった。

「すごい!!」
そのとおり、ウスヒラタケです。
よく見つけましたね。
マツタケにしても、秘密の場所は教えませんね。(笑)

 さて、野生のキノコを食べるとなると、勇気がいるものである。
「大丈夫なのだろうか」と、毒キノコのことが頭をかすめる。一方では「このキノコ、美味しいよ、食べてみないかい」悪魔が囁く。
山で採ってきたキノコは「食べるか! 食べないか!」と気を持たせる蠱惑的(こわくてき)な食べ物である。









Posted by nonio at 17:13Comments(2)山野草 希望が丘

2019年04月04日   りゅうきんか/三上山

 
 先日、Mさんから、三上山の登り口に「りゅうきんか」が咲いているとの知らせがあった。早速、出掛けて行った。

 毎年、早春になると、 多くのハート形の葉っぱから、花茎をスッと伸ばし、その先に一輪の黄色い光沢のある花を付けていた。
数年前には、湿り気のあるあちこちで見られたが、今年はどうしたことか2か所だけになっていた。

 直立し、黄金色の花をつけることから立金花と呼称されるこの花言葉は、「富」「贅沢」の意味を持つらしい。宝くじを買う前に、幸運が舞い込むようにと拝みにいってみょうと考えている。

 これで、希望が丘・三上山周辺の35番目の山野草(木)になった。















Posted by nonio at 09:28Comments(0)山野草 希望が丘

2018年12月03日   フユイチゴを見出す/希望が丘

 
“滋賀県希望が丘文化公園”が主催する第3回ハイキングの下見に出掛けた。
職員の方とボランティアとして参加している数名の仲間で、案内予定の南陵見晴らしコースを辿った。
 ボランティア仲間達とは、年に何回か希望が丘で出会うだけの間柄である。
話の内容と言えば、「今年は穂高にいったとか」「どこそこの山は台風で荒れている」とか山の情報交換をする程度で、もっぱら思い切り植物談義だ。これだけで、盛り上がる心地好い仲間である。

 さて、霜月の後半にもなると、さすがに一輪の花もなく、目につくのは低木の赤や黒っぽい木の実だけだ。
兎に角、女性仲間は希望が丘一帯の地形・自生している植物に関して精通している。次から次へと木の実を見つけ出しては、「あまい、すっぱい・にがい」とか味見をしながら、歩を進めた。時折、実の色・葉っぱの形・枝ぶりなどから植物名の見解が違っていると、二人はあれこれ納得するまで論じていた。

 私はもっぱら聞き役 。希望が丘の職員も聞き役だ。

 ところで、何回聞いても忘れてしまう私の頭に残ったのが、“木イチゴ”だけ。

 草イチゴの場合は、“苺”“の字があてられるが、木イチゴは“莓”の字を使うらしい。だから、木莓と書く。
背丈は20~30センチ程度で、這うようにして枝を長く伸ばし、花柄に実をつけていた。一房口にすると、小粒のルビー色に熟した実は、甘酸っぱく野性味そのもの。

 大方の野イチゴは夏に実を付けるのだが、 樹々が冬支度をするこの時期に実を結ぶので、わざわざ”フユ”を付け加えて“フユイチゴ”と言われている。




  これで、希望が丘・三上山周辺の34番目の山野草(木)になった。








2018年11月11日   秋のキリン草/希望が丘

 
 最近、三上山には出かけるが、希望が丘には足が遠のいていた。久しぶりに色づいた[かえでの森」に歩を進めた。その帰り、自転車道路の路肩に、「秋のキリン草」がそこここと随所に見られた。何回も通っていたとろだが、気付かなかったのが不思議なくらいだ。

 この花、山地や丘陵部の日当たりのよい場所に行くと、よく見かけたものだ。
黄色い可憐な小花が集まって円筒状の姿をしているので、キリンの首のようにみえるので、「麒麟草」と思い込んでいた。よくよく調べると「黄輪草」であった。
  読み方だが、「黄」は訓読の“き”、「輪」の音読の”りん”で「黄輪草」と書いて「きりんそう」と呼ぶ。音訓が混じってはいけないというルールはないが、何となく読みづらい。

 この輪は、花など数える言葉として使われ、小さな花がまとまって黄色い一輪の花に見えるので、黄輪草の漢字が与えられている。

 この花は取り立て興味を掻き立てることがないが、最後に育った頂部の花から咲くらしい。生真面目と言うか、窮屈な咲き方である。
今迄、全ての花の咲く順番は、花軸の下位から上位へと順次開花すると思っていた。中には、逆方向に咲くものもあるようだ。 自然界の多様性に驚かされる。
 




 秋に黄色い小花を咲かせるキリン草に似たセイタカアワダチソウが天山登口で見られた。黄色の花だが、三角錐なので、見分けがついた。

  いっとき、この外来種は、河原や土手などの水辺や空き地、道端や線路沿いなどに進出した。他の植物の抑制する成長阻害物質を出し、猛威を振るったのだ。あまりにも繁殖の勢いが凄かっので、群生してしまうとススキなどの秋風物詩が生えてこなくなってしまうと危惧されたことがあった。環境省が要注意外来生物リストの植物となったものだ。

 ところで、自然界は良くしたもので、自分自身の分泌した成長阻害物質が、周囲の植物だけでなく、自らの成長も抑えこまれてしまった。
現在では、落着きを取り戻し、それほどの侵略種ではなくなり、程よく周囲のススキ等と共生している。 
このアワダチソウ(泡立草)というのは、日本の在来種アキノキリンソウの別名でもあるのが微笑ましい。




  これで、希望が丘・三上山周辺の33番目の山野草になった。











2018年10月01日   どうして、お彼岸に咲くの

  
 
どうして、お彼岸に咲くの
あの世とこの世が最も通じやすい時期だから

どうして、そんなに赤の
曼殊沙華とも言うの
「天界に咲く花」だから
                                                                         nonio






彼岸花と金子みすゞ




Posted by nonio at 06:39Comments(0)四季山野草 希望が丘

2017年10月25日   城山裾野のコクラン

 
 
  希望が丘・三上山周辺で、いまだ目にしたことがない植物に出合うことがある。冷ややかな人に、「それがどうした」と言われようが、私にとって これ以上類のない至高の出会いである。


 希望が丘の北稜コースの西端に位置する城山の山麓を分けいっていた。山頂から下って行く登山路は、草が生い茂り、踏み跡も消えかけていた。しばらく、右往左往しながら歩みを進めた。
盛夏のむんむんする深緑を通り過ぎると、風が通り抜けている人口林に出ると、いつの間にか、登山路から作業道に変わっていた。

 これまで、昼でも薄暗く、下層植生も失った”緑の砂漠化”した人工林に出合うことが多かった。が、この一帯の樹林は、間伐などの手入れも行き届き、気持ちがいいほど明るい森林帯であった。
林の中まで光が射し込み、樹木の下に小さな草木も育っていた。

 ドンドン下って行くと、 一隅に、誰かが手厚く育てているような山野草に出合った。十株ほどひとかたまりになって、ひっそりとたたずんでいた。花を咲き終えたのか、葉間から伸ばした花茎も枯れかかっていた。

 従前の私は、 花が終わった山野草に出合っても見過ごして行った。今の私は少し変わっていた。
山野草に精通した山仲間達は、葉の形とか葉のつき方や花の枯れた花茎などを手掛かりに、楽しそうにあれこれと詮索していた。色んな楽しみ方があるものだと、教えられたことがあった。花が咲いていなくても、むしろ、山野草をより深く知ることができるようだ。

 既に枯れた長く伸びた一本の花軸を子細に観察すると、数個の花の柄が見られた。長い花茎に小花柄をもつ花をつける形は、ラン科ではないか・・・・・・。 
葉っぱは、葉と茎を接続しているところが、幅が狭く、次第に幅が広がり、先端に行くと再び狭まっている。この葉っぱは、長径と短径の差が小さい広楕円形であった。そして、葉先が尖り、葉の周辺部は切れ込みのない滑らかなものであった。
 
 まだ花を見たことがないので、断言できないが、これらの特徴からして、「コクラン」と推しはかった。城山の山麓にコクランが自生しているとも聞いていたので、ますますそう思えてきた。
 
 黒蘭は、花の色が黒いことから付けられたのであろう。実際の色は黒より明るく、暗紫色に近い花を付けるらしいが、目立たない質素な色である。
 昆虫や鳥に花粉を運んでもらうために殆どの花の色は、鮮やかな色彩をしているのに、敢えて黒色を選ぶのか。自然界の多様性と言うか、人間では計り知れない不思議さを感じる。
 
 例えば、黒ユリの臭いは、百合の花と思い嗅いだらとんでもない。高山という特別環境では、色彩でなく強烈な臭いを放って、ハエ(ケブカクロバエ)を呼び寄せている。
コクランにどんな昆虫が訪花しているのか知らないが、昆虫をおびき寄せる巧みな能力を持っていることだろう・・・・。

 まだ見ぬ、「コクラン」の花をあれこれ想像することは、楽しいものである。

「滋賀の山野に咲く花700種」の書籍によれば、コクランは「見ていてあきない山野草」と記されている。多分、花はユニークな姿をしているのであろう。来年が楽しみだ。希望が丘・三上山周辺の32番目の山野草「コクラン」になった。

 「ふるさと館」から城山へ。山頂から「辻ダム」に下りるつもりだったが、コクランに気が取られ、国道8号線沿いの平田機工(小堤)に迷い出た。自動車を駐車させておいたところまで戻るのにかなり手間取ってしまった。


 まだ咲いていない花としては、サイハイランがある。
希望が丘・三上山周辺の幻の30番目

 山仲間が10年近くも見守ってきたのだが、盗掘されてしまった。 一昨年、幾らか持ち直したが、その後、衰弱枯死してしまい、希望が丘からサイハイランの姿が消えてしまった。

 先日、念のため訪れてみると、なんと、葉っぱが見られ、その生命力に驚いた。
僅かなバブルが地中に残っていたのだろう。兎に角、希望が丘の唯一のサイハイランなので復活してほしいものだ。








Posted by nonio at 08:11Comments(0)山野草 希望が丘

2017年06月01日   「竹が花を咲かせる」希望が丘の山林

 
  5月26日希望が丘敷地内の鏡山の善光寺川源流で、竹が花を咲かせていた。奥鳴谷広場から鳴谷池にいく途中の小規模な竹林である。この辺りは、倒木したり、枯れた樹々が放置され、自然があるがままになっているところだ。

 竹は60年~120年に一度花を咲かせ、その一生を終わるということは聞いていたが、実際、目の当たりにしたのは初めてであった。

 「竹の花は、きれいな色をしているらしいが、この花は既に時間が経って、くすんでいる」、と誰かが言っていた。
辺り一帯の竹が枯れかかっているのを見ながら、
「竹は地下茎でつながっているので、 若い竹も古い竹も一斉に花を咲かせる。そして、花が咲くと全部枯れてしまう」、と職員の方が話していた。

 竹は花を咲かせなくても、長い年月地下茎によって子孫を殖やしていけるのだが、自分の死期を感じとったのであろう、オシベとメシベが交配をして、種に変身して新しく出直す準備をしていたのであろうか?それとも、人には感じ取れない天変地異を感じ取って、その備えをしているのであろうか。

昔から、竹に花が咲くと凶事の前触れと恐れられたようだが、ミステリーに富んだ出来事に遭遇してしまった。









2017年05月12日   三上山・北尾根縦走路にて春蘭

  
 昨年、希望が丘北陵で春蘭を見出し、今年も無事に生き生き花を咲かしていた。そんな折、Kさんから三上山・北尾根縦走にも咲いていたとの知らせがあった。


 小ぶりの一株にやわらかな包葉に包まれた花茎は、ひょろりと伸び、その先に花を付けていた。いま、三上山周辺で見つかっている春蘭は、この一株だけ、末永く見守っていきたい。








Posted by nonio at 06:22Comments(0)山野草 希望が丘

2017年03月29日   早春に咲く梅花黄連/希望が丘

  
 早春のある日、Kさんから「希望が丘にも”梅花黄連”が巡ってくる時節・・・」との便り。この4文字の漢字は何なのか一瞬戸惑ったが、声を出して読むと「バイカオウレン」。耳にしていた花名である。
私は出合ったことがないが、気にかかっていた山野草のひとつだった。ところで、Kさん、ただ「探して」としたためてあった。咲いている場所がわからないのであろう。

 折角、この山野草に出会うには、場所・時期の2ツが分からないと。
ひっそりと自生している正確な場所は判らないが、仲間内の話の端々からほぼ予測はついていた。問題は、時期だ。山野草の花の盛りは驚くほど短く、タイミングが肝要である。

 早速、Hさんに確認したところ、
「この10年、3月25日には開花している」との貴重な情報をもらった。その後更に、「何株が開花した」との連絡を受けた。人に出来るだけ出会わない平日、いそいそと奥深い希望が丘へと向かった。 
 柔らかい日射しが射し込む渓谷の水は温み、辺りの草木の芽吹きもちらほら、一歩また一歩と、季節が動いていた。
小川が、右から左へたゆたゆと流れ、幽かなせせらぎの音だけの世界が広がっていた。 「細流(せせらぎ)」とつぶやくだけで、なぜか穏やかな気持ちになる。 明るい谷筋を、眼を凝らしながら、川の流れる際をゆっくり、丁寧に歩いた。愛しい恋人と待ち合わしているかのような高揚感に包まれた。

 この花は、”梅花黄連”。白色で、丸みのある白梅に似た花が咲くので「梅花」と呼ばれている。黄色い根から「黄連」と呼ばれ、舐めると、苦く、漢方薬に用いる生薬らしい。手がかりは、根が黄色らしが、掘って探すわけにいかなない。手がかりは、白い花と葉が深く切れ込んでいる山野草だ。

 何回も日参して、辺りの地形も分かるようになったある日、樹木越しに微かに咲く白い花を見つけた。近寄ってみると、 まだ寒いこの時期に早くも春を告げるバイカオウレンだった。

 これで、希望が丘・三上山周辺の31番目の山野草になった。