2013年02月14日    霧氷に出会えた高見山

 2013年1月12日(土)堀坂山・観音岳に出掛けた時、この掘坂山の続きにある見事な「高見山(標高1248.3m)」の鋭鋒を眺めることができた。
 是が非でもこの三角錐の尖峰に発生する霧氷に出合いたいとの思いで、三重県松阪市と奈良県吉野郡東吉野村の境界にある高見山へ、2月6日出発した。天気予報からして「雪」を期待したのだが、自然はままならない。一日中、「しとしと」と降る小雨になった。 計画コースは小峠を経由して高見峠(大峠)から山頂を目指した。
                                      旧伊勢南街道の小峠
霧氷に出会えた高見山 高見山登山口バス停から少し戻り、民家の横から山裾に取りついた。冬季のこの時期、道は、凍りつき足元に注意を払いながら、慎重になるのだが、凍てつきも無く、辺りの様子を伺いながら、なだらかな尾根道をゆっくりと上って行った。

 以前気づかなかったのだが、この登山路は旧伊勢南街道。古代から伊勢参宮の南街道であった。表示板には、「紀州・大和・伊勢を結ぶ塩の道、米の道・魚の道の交易路でもあり、かっては伊勢参宮の道であり又紀州徳川家が、江戸参勤交代の街道にこの街道を利用した」などと記されていた。古市跡や所々昔の石畳が残り風情があった。 
 
 更に進んでいくと、左手に雲母曲と書いて「きららひじ」と読む道標が現れた。意味ありげなところと思われたが、判らないままやり過ごして小峠にやって来た。ここにも高見山を詠んだ万葉集石上大臣と本居宣長の二首の歌が紹介されていた。この峠道は、古い時代先人が切り開いた由緒ある街道であったことを、改めて知った。そして、何時も思うのだが、こういった古道は、地形を配慮して無理せず高度を稼ぎながら峠へと導いてくれる工夫が凝らされていた。今では、訪れる人は限られるが、以前には多くの人達が行き来したのであろう。歴史的な情緒を感じられる街道であった。 

  吾妹子を いざ見の山を高みかも 大和の見えぬ国遠みかも
  万葉集 石上大臣

  きくがごと まこと高見の山なれば わが里見せよ雲居なりとも
  本居 宣長


旧伊勢南街道の表示板
霧氷に出会えた高見山
 「小峠」から「大峠(高見峠)」にどうしても行きたかったのだが、「この先の工事箇所において山が崩落するおそれがあるため登山道及び村道への立ち入りを禁止します。東吉野村」との赤字の警告の立て札があった。仕方なく「小峠」まで引き返し、鳥居を潜り頂上に向かった。

 例年では、「小峠」から急登になるので、アイゼンを装着するのだが、山道は地肌そのままであった。
鳥居を潜り、石幅の狭い急な階段が登り、尾根道にでると、まもなく平野か尾根伝いの道になった。登っていくとブナ林が広がり傾斜もゆるくなってきた。この辺りから樹氷が見られるのだが枝には水滴がつき、辺り一帯は雪すら見当たらないただの斜面。謂れのある国見岩、揺岩、笛吹岩など命名した岩があったが、興味もなく通過していった。
 
国見岩、揺岩、笛吹岩を通過中の小雨に濡れた木々
霧氷に出会えた高見山

 ここまで登ってくると冠雪も無く、霧氷をほとんど諦めていた。が、自然は予期しないことが突如起こり、いろいろ演出をしてくれるものだ。

 山頂まじかの笛吹岩から上部にやってきた。突然、猛烈な突風が吹き上げてきたと思うと、辺りが過冷却された霧に蔽い尽くされ、まったく前が見えなくなってしまった。指の先が無感覚になりはじめたので、見ると手袋の表面に細く白色の糸状の氷ができていた。見ている間に霧氷が、枯れ草に出来上がっていった。風上側へ向かって羽毛状の霧氷が成長していった。半端な寒さに耐え切れず、頂上直下の非難小屋に飛び込んだ。
 出来上がった霧氷を眼にすることがあったが、短時間に成長していく霧氷を見たのは初めての体験であった。
 頂上直下の非難小屋前の霧氷の枯れ草 
霧氷に出会えた高見山
 この小屋に長居は無用と一休みして下山にかかった。あたりは、打って変わって霧氷の華が咲いていた。
 
笛吹岩付近の樹木に成長した霧氷 
霧氷に出会えた高見山



  



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Posted by nonio at 06:30 │Comments( 0 ) 三重県の山
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