2011年11月27日    大雪の金糞岳頂上断念

  11月26日(土)金糞岳に向かった。滋賀県で伊吹山(1377m)に次ぐ、第二位の高峰金糞岳(1317m)である。山に関心のない人には、「糞」の文字から悪いイメージを想像するかもしれないが、遠い昔、この草野川東俣谷に古い鉱山跡があり、周辺には鉄製遺跡があったらしい。要するに、鉱石から鉄など金属を精錬する際、不要成分である溶融魔物が、鉱滓(かなくそ)であり、「糞」の文字になってしまった。全国に「糞」にまつわる地名が幾らでもあり、それ程毛嫌いしなくても良い内容の言葉である。
 この山はふところの深い山であるが、現在では、鳥越林道が付き、誰でも簡単に登れる山に変わってしまった。この事はいいかも知れないが、自然を親しむものにとっては「そっと」しておいてほしかった山でもある。

 さて、昨日、武庫川渓谷沿いの旧JR福知山線廃線跡のウオークキングの帰りがけ、バスの車窓から、道路情報の表示盤に「木之本・積雪」との文字がチラッと目にした。「何となく、明日は気になるなー」と思っていた。

  近江富士(三上山)の南側に位置する菩提樹山を背に6時30分出発していった。この山は甲西富士とも呼ばれ、夜明けの少し前から山が見え出し、一気に茜色に染まった。
『夕焼けの翌日は晴れ』とことわざがあるが、朝焼けの評価はあまりよろしくないようだ。

  大雪の金糞岳頂上断念

 長浜ICを降りて、国道365号線方向から北上して、鳥越林道へ。高山キャンプ場を少し越えたところから、道路が凍りつき、「とうとう」自動車がスリップして進めなくなった。自然を相手に遊んでいるとままならないことに出くわすこともあるが、季節はずれの予想外の積雪には、驚いた。
 今回の計画では、連状口から小朝ノ頭・大朝の頭などの小ピークを越えて積雪前の金糞岳・白倉岳を狙ってものであった。だが、連状口からかなり手前の林道(ほぼ標高650m)で通行不能に陥ってしまった。

 全く冬仕度をしていないことから、「リーダーの判断で、いけるところまで進む」ことになった。積雪深さは30~40㎝。ワカンも持ち合わせていなので、足を踏み込んで壺状の足場を作りながら進んだ。出始めはメイメイ、林道の幅一杯に新雪を楽しむように進んでいったが、その内、後に続く者は同じ足場を踏みながら一列に整列していった。このことが妙に面白かった。登山口連状口に10時30分着。ここで、計画時間からすると、1時間半程度ロスとなった。

大雪の金糞岳頂上断念

 ここから登山路に入った。雪の重みで何ヶ所も小枝が倒れこみ、行き手を阻み、一挙に出足が鈍った。小枝の雪を払いつつ、更にラッセルに手間取った。交代しながらのトップは、ルート工作で汗だくだが、後続者は踏み固められたところをゆっくりと進むので寒いぐらいだ。このアンバランスにチーム全体に苛立ちが出て来た。

大雪の金糞岳頂上断念


大雪の金糞岳頂上断念 リーダーが、地図上の地点標高1053m(GPS1039m表示・N35°31′58.2″・E136°20′15.9″)で、頂上1377mを踏むまでの時間が少なすぎるとの判断から、ここから引返すことを決断した。既に11時30分、少し早めであったが昼食を食べ、下山。

 結局、金糞岳・白倉岳の顔を見ずに、もと来た林道を下り、早目の帰還となった。右側に、白倉岳から枝分かれした花房尾根が続き、奥山を経由して高山キャンプ場に縦走するルートがある。青空に映えて白くなった稜線の光景は、自然からの素晴らしい贈り物であった。

大雪の金糞岳頂上断念



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Posted by nonio at 15:47 │Comments( 0 ) 滋賀県の山
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