2011年05月21日 花咲く鈴鹿鎌ヶ岳・水沢岳
日付 2011年5月14日(土)
山名 鈴鹿山系 鎌ヶ岳・水沢岳
コースタイム
宮妻狭キャンプ場 9:00 鎌ヶ岳 12:40 水沢岳14:30
水沢峠15:00 林道16:00 宮妻狭キャンプ場 16:30
綿向山の山頂から眺めていた時、伸びやかな存在感のある雨乞岳(標高1,238m)の横に小さいが、きわだって鋭い山容が見えた。鎌ヶ岳との初めての出会いであった。御在所岳から鎌ヶ岳さらに鎌尾根へと荒々しい起伏が続いていた。この山は「鈴鹿の槍ヶ岳」と呼ばれ、「いずれ踏破したい」と登高欲をかき立てる山であった。
山の友人S氏が、鈴鹿山系の中でも指折りの難所である「鎌ヶ岳・水沢岳」の計画を立案した。気心を許しあえる8名が挑み、最近、最も充実した登山となった。
厳しいザレ場・鎖場・両側が深い谷の細い馬の背など危険箇所も多くスリル満点。その上、山野草が咲き乱れ、ツツジ科の赤ヤシオ・白ヤシオの満開、石楠花の咲きかけとなり、登山の醍醐味を満喫した1日となった。
鎌ヶ岳の頂上にて群青色を凝縮した天空をバックに満面の笑み

駐車場から指示標にしたがってカズラ谷に向かった。直ぐに小さい流れを渡渉しながらゆっくりと登山を開始した。右手にカズラ滝を見ながら、よく踏み込まれたV字に掘れた溝道を登っていった。一汗かいた頃、落葉が敷き詰められた樹林で、淡いピンク色のイワカガミの群落が出迎えてくれた。
その少し横の光が射しこむ明るいところに、淡い青紫色のリンドウを目にした。花の閉じた形が筆の穂先に似ることから「フデリンドウ」であると教えられた。 春リンドウより一回り小ぶりで、可憐な顔つきをしていた。3輪の花が寄り合って、精一杯、いたいげに天を仰いでいた。私にとっては、清楚で且つ凛とした姿が、いつまでも脳裏に写し込まれた山野草となった。雲母峰(キララミネ)分岐までやってきた。
まだしばらく滑りやすい急登が続いたが、その内、尾根歩きとなり、幾分勾配も緩んできたと思った時、木立の間から鎌ヶ岳の鋭いゴツゴツした岩肌が見え始めた。背丈を超えるほどの笹が山道を覆っていたが、そのまま突き進んでいくとあっけなく岳峠にやってきた。ここから、少し登ったところにザックを置き、鎌ヶ岳までピストンをした。
頂上からの眺めは、素晴らしい広がりを見せていた。武平峠の鈴鹿スカイライン越しに、重厚な雨乞岳、平らなイブネなど懐かしく眺められた。遠くには青々とした重畳たる山なみが続いていた。
この御在所岳と鎌ヶ岳の間を抜けて行く雄大な峠には、今は国道477号が通っているが、かって、近江から漆器、薬、麻が運ばれ、伊勢から木綿、干魚、塩と生活物資が牛馬に引かれて最短の道として利用されていたところだ。
鈴鹿スカイラインの切り込まれた道筋は、人手が加わった自然と馴染まないものであるが、この山並みであり、谷間であり、峠の原風景は、昔と何ら変わらない。だとすると、当時、苦労して通過していった旅人、近江商人、そして伊勢側の湯の山温泉へ湯治に訪れた人達の吐息も感じられ、訳もなく、感傷的な面持ちになって大自然を眺めていた。
岳峠まで戻り、水沢岳に向かって鎌尾根の縦走コースに入った。この尾根は鋸歯のような岩峰が続き、昔は通過が困難なところであった。現在踏み固められ一般コースとなっているが、気を引き締めて通過していった。
出始から急登の岩頭を登りきると、小さなキレットに出くわした。岩壁に鎖が取り付けてある「カニの横ばい」のクサリ場を横切っていった。滑落すれば命がないが、慎重に行動すればそれほど危険も感じなかった。花崗岩が風化した滑りやすいザレ地の幾つものピークを越えていった。衝立岩と呼ばれる岩山も鎖に助けられて無事通過。後を振り向くと鎌ヶ岳の鋭鋒が鋭く天空に突き刺すようにその存在を見せつけていた。

登山道が左に直角に曲がっていた。滋賀県側に下っていく白滝山尾根であり、ここが迷いやすい地点となっていた。この分岐点を通り過ぎると、笹原のある広い稜線となった。白ヤシオが一杯だ。シャクナゲは大きな真っ赤なつぼみを付け、これから咲く準備をしていた。
水沢岳への最後の登りにやってきた。カズラ谷道を登ってきた時、遠くにこんもりとした水沢岳の手前に大きな崩壊したザレ場が見えていたところだ。奇岩が林立する急斜面を目にして異様な風景に圧倒された。一歩一歩点在する岩に掴まりながら登り、右側の潅木の境に少し回り込みながら登り詰めると潅木帯の平坦なところ出た。そのまま進むと水沢岳の表示板があった。
頂上で2人が休憩していた。このルートは、難コースの割に人気があるようで、途中、何人もの登山客に出会ったのが意外であった。
水沢岳で一息入れて「馬の背渡り」のザレ尾根にやってきた。ここには今にも崩れそうな細尾根が下に延びており、その先が見えない。特に、右側の足元の切れ込みが鋭くどこまで落下してしまうか不安がよぎる。滑りやすいのでヨチヨチ歩きになり、手でバランスをとりながら、一人ずつ慎重に渡りきった。
ザレ場でここを通り過ぎると、潅木に掴まり、大汗をかきながら水沢峠鞍部まで下っていった。この水沢峠もかって伊勢の大久保へ至る峠であったが、今では、ここを暮らしの拠り所とした峠ではなくなっていた。
ここから、尾根筋に別れを告げて、下降していった。少し行くと山腹沿いに付けられた山道は直角に谷底へと導かれていった。石のある沢を辿っていくと、再び山道が現れた。高巻きしながら進んでいくと、林道にでた。既に駐車場には自動車は少なくなっていた。
5月5日付け中日新聞で「菰野町の御在所岳(1212メートル)周辺を代表するツツジ科のアカヤシオが中腹で満開になった。つぼみも多く、今月中旬には山頂でも見ごろになるという。開花は1週間ほど遅れ気味」と御在所を代表する花として赤八汐が取上げられていた。今年は季節の移り変わりが、1~2週間遅れ気味である。
草木を知り尽くした仲間T女史は、「アカヤシオ(赤八汐)の花期が4~5月・シロヤシロ(白八汐)が5~6月とズレているのだが、季節の移り変わりの変調で、同時に観られて、ラッキー」と興奮気味に語っていた。
山岳の尾根筋に咲く高山性植物は、可憐で、美しい。
アカヤシオ花色は、淡紅紫色で枝先に1~2ケつき、花びらは丸みを持ち、精一杯開いている姿が真に艶やか。シロヤシオは、清楚な「ツン」として寄せ付けない雰囲気が粋(いき)であった。


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山名 鈴鹿山系 鎌ヶ岳・水沢岳
コースタイム
宮妻狭キャンプ場 9:00 鎌ヶ岳 12:40 水沢岳14:30
水沢峠15:00 林道16:00 宮妻狭キャンプ場 16:30
綿向山の山頂から眺めていた時、伸びやかな存在感のある雨乞岳(標高1,238m)の横に小さいが、きわだって鋭い山容が見えた。鎌ヶ岳との初めての出会いであった。御在所岳から鎌ヶ岳さらに鎌尾根へと荒々しい起伏が続いていた。この山は「鈴鹿の槍ヶ岳」と呼ばれ、「いずれ踏破したい」と登高欲をかき立てる山であった。
山の友人S氏が、鈴鹿山系の中でも指折りの難所である「鎌ヶ岳・水沢岳」の計画を立案した。気心を許しあえる8名が挑み、最近、最も充実した登山となった。
厳しいザレ場・鎖場・両側が深い谷の細い馬の背など危険箇所も多くスリル満点。その上、山野草が咲き乱れ、ツツジ科の赤ヤシオ・白ヤシオの満開、石楠花の咲きかけとなり、登山の醍醐味を満喫した1日となった。
鎌ヶ岳の頂上にて群青色を凝縮した天空をバックに満面の笑み


その少し横の光が射しこむ明るいところに、淡い青紫色のリンドウを目にした。花の閉じた形が筆の穂先に似ることから「フデリンドウ」であると教えられた。 春リンドウより一回り小ぶりで、可憐な顔つきをしていた。3輪の花が寄り合って、精一杯、いたいげに天を仰いでいた。私にとっては、清楚で且つ凛とした姿が、いつまでも脳裏に写し込まれた山野草となった。雲母峰(キララミネ)分岐までやってきた。
まだしばらく滑りやすい急登が続いたが、その内、尾根歩きとなり、幾分勾配も緩んできたと思った時、木立の間から鎌ヶ岳の鋭いゴツゴツした岩肌が見え始めた。背丈を超えるほどの笹が山道を覆っていたが、そのまま突き進んでいくとあっけなく岳峠にやってきた。ここから、少し登ったところにザックを置き、鎌ヶ岳までピストンをした。

この御在所岳と鎌ヶ岳の間を抜けて行く雄大な峠には、今は国道477号が通っているが、かって、近江から漆器、薬、麻が運ばれ、伊勢から木綿、干魚、塩と生活物資が牛馬に引かれて最短の道として利用されていたところだ。
鈴鹿スカイラインの切り込まれた道筋は、人手が加わった自然と馴染まないものであるが、この山並みであり、谷間であり、峠の原風景は、昔と何ら変わらない。だとすると、当時、苦労して通過していった旅人、近江商人、そして伊勢側の湯の山温泉へ湯治に訪れた人達の吐息も感じられ、訳もなく、感傷的な面持ちになって大自然を眺めていた。

出始から急登の岩頭を登りきると、小さなキレットに出くわした。岩壁に鎖が取り付けてある「カニの横ばい」のクサリ場を横切っていった。滑落すれば命がないが、慎重に行動すればそれほど危険も感じなかった。花崗岩が風化した滑りやすいザレ地の幾つものピークを越えていった。衝立岩と呼ばれる岩山も鎖に助けられて無事通過。後を振り向くと鎌ヶ岳の鋭鋒が鋭く天空に突き刺すようにその存在を見せつけていた。

登山道が左に直角に曲がっていた。滋賀県側に下っていく白滝山尾根であり、ここが迷いやすい地点となっていた。この分岐点を通り過ぎると、笹原のある広い稜線となった。白ヤシオが一杯だ。シャクナゲは大きな真っ赤なつぼみを付け、これから咲く準備をしていた。

頂上で2人が休憩していた。このルートは、難コースの割に人気があるようで、途中、何人もの登山客に出会ったのが意外であった。

ザレ場でここを通り過ぎると、潅木に掴まり、大汗をかきながら水沢峠鞍部まで下っていった。この水沢峠もかって伊勢の大久保へ至る峠であったが、今では、ここを暮らしの拠り所とした峠ではなくなっていた。
ここから、尾根筋に別れを告げて、下降していった。少し行くと山腹沿いに付けられた山道は直角に谷底へと導かれていった。石のある沢を辿っていくと、再び山道が現れた。高巻きしながら進んでいくと、林道にでた。既に駐車場には自動車は少なくなっていた。
5月5日付け中日新聞で「菰野町の御在所岳(1212メートル)周辺を代表するツツジ科のアカヤシオが中腹で満開になった。つぼみも多く、今月中旬には山頂でも見ごろになるという。開花は1週間ほど遅れ気味」と御在所を代表する花として赤八汐が取上げられていた。今年は季節の移り変わりが、1~2週間遅れ気味である。
草木を知り尽くした仲間T女史は、「アカヤシオ(赤八汐)の花期が4~5月・シロヤシロ(白八汐)が5~6月とズレているのだが、季節の移り変わりの変調で、同時に観られて、ラッキー」と興奮気味に語っていた。
山岳の尾根筋に咲く高山性植物は、可憐で、美しい。
アカヤシオ花色は、淡紅紫色で枝先に1~2ケつき、花びらは丸みを持ち、精一杯開いている姿が真に艶やか。シロヤシオは、清楚な「ツン」として寄せ付けない雰囲気が粋(いき)であった。


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Posted by
nonio
at
17:46
│Comments(
2
) │
滋賀県の山
この記事へのコメント
ぱるさん
こんにちは
アカヤシオの花弁の色彩基調は赤色ですが、ピンク色をして、昆虫を寄せ付けるだけでなくヒトまで寄せ付ける艶やかでした。一方シロヤシオは真っ白で近寄りがたいほど、清潔感に溢れていました。
この対比の「妙」が実に楽しかった。
こんにちは
アカヤシオの花弁の色彩基調は赤色ですが、ピンク色をして、昆虫を寄せ付けるだけでなくヒトまで寄せ付ける艶やかでした。一方シロヤシオは真っ白で近寄りがたいほど、清潔感に溢れていました。
この対比の「妙」が実に楽しかった。
Posted by nonio
at 2011年05月24日 07:09

おはようございます。
山の名前を知らない私でも尖って特徴ある鎌ケ岳だけは、直ぐ分かります。
以前アカヤシオを見に山頂近くまで登った事が有りました。
あの色は忘れられません。今回はシロヤシオも一緒に見られ良かったですね♪
それにお天気にも恵まれよかったですね!
山の名前を知らない私でも尖って特徴ある鎌ケ岳だけは、直ぐ分かります。
以前アカヤシオを見に山頂近くまで登った事が有りました。
あの色は忘れられません。今回はシロヤシオも一緒に見られ良かったですね♪
それにお天気にも恵まれよかったですね!
Posted by パル
at 2011年05月23日 09:49

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