2009年06月26日    カキツバタ 平池

 高島市今津町深清水の平池 には、約1万株のカキツバタが群生している。この湿地帯は箱館山の北に位置し、標高約550メートルの山中にある。咲き始めは平地より遅いが、「カキツバタの開花状況」については、リアルタイムで情報が発信されている。
  『6月19日(金)カキツバタの様子本日をもちまして今シーズンの「カキツバタ開花情報」の発信を終了』との情報を得て、6月20日(土)平池を訪れた。なぜなら、開花時期の案内が行き届き、超満員には”うんざり”。
 カキツバタが盛りを過ぎ、観光客など人もいなくなり、何時もと変わりないひっそりとした静けさを取り戻していることを期待しつつ、尚、残り花も当てにしながら出向いていった。何よりも、背丈が高いスギ林に囲まれた平池一帯には、木々から醸しでる芳醇な匂いがあり、深山に漂う特有の冷気がある。この雰囲気を味わうために…。
 
 家族旅行村「ビラデスト今津」の入口ゲートに近づくと、やたらと子ども連れの猿の群れが道路を横断していった。この辺り一帯が従前の自然に戻りつつあることを予感した。入場料および駐車料の代わりとして環境協力金として300円を支払って入場した。やはり予想通り、広い駐車場には、土曜日にも拘わらず数台しかなく、人の気配もなく閑散としていた。

 平池の成り立ちには、以前から興味があった。石田川・百瀬川が上流の河川を自分のものにしようとして、互いに争った。この争奪において、かつて石田川の源流だった河川を百瀬川にとられてしまった。その結果、上流を失くした石田川は、土砂を運べず埋積し現在の湿原台地を造ることとなった。このようにして南北に細長く、周囲が約500mの浅い水をたたえた平池が出来上がったといわれている。そして、カキツバタの花は、池の西側と浮島状になった中央部分などに咲き、昔から名所として知られてきた。

                 山の中に広がる平池(ひらいけ)
カキツバタ 平池

 写真は「ヘプリカム」ある。我が庭には、梅雨時期に咲くアジサイをはじめとして色んな花が競って咲いている。その中でひときわ目立ち、次から次へと咲き実を結ぶ。この花は人に可愛がられて、この美しさから栽培され子孫残す方法を手に入れたのであろう。土壌にはその植物に最も適合した肥料が施され、夕方になれば、人によって水が補給される。実が結ぶと大事に保管される…。

                 庭に咲く可憐なヘプリカム
カキツバタ 平池
 
 庭に咲く「ヘプリカム」然り、人間の手を借りて人為的につくられた植物は、人の趣味趣向によって運命が定められている。悲しい植物である。
 一方、大地に根を張って生きているカキツバタは、厳しい生育環境の下で、自然淘汰されながら自生し現在がある。カキツバタは、この植物の持ちうる生命力で生き延び、おかれた環境にある限りのある栄養素を取り込んで成長し、他の植物を寄せ付けず打ち勝ち水辺に膨大な時間をかかって群落を築いていったのだ。

 庭で見事に咲き誇った植物と比べて、自然淘汰された生き残った植物は、気品、生命力の点で格が違うと常々想い、敬虔な気持ちで接している。

 毎年梅雨に入る頃、青紫のカキツバタの花が一面に咲き、この青紫の帯が水面に反射し、二つの青紫の帯が織り成す幻想的な情景になるのだが、もう盛りは過ぎ、奥の方にしか咲いていなかった。ただ、この場所に立って見られたことに満足した。

                   カキツバタの湿原
カキツバタ 平池

 石田川の源流部のみ台地状の湿原で、その後は深い谷になっており、尻切れトンボのように不自然な地形である。これを確認するために、帰路は、ビラデスト今津から淡海池(処女湖)を抜けて石田川渓谷から石田川ダムを経由した。道路は落石も多く、はかなり傷んでいた。

 石田川ダムは、石田川沿いの洪水被害の軽減とかんがい用水の補給のために、石田川の上流に建設したダムであるが、今年は、雨が少ないのか、水がなかった。

                    水なしの石田川ダム
カキツバタ 平池


 




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Posted by nonio at 18:16 │Comments( 2 ) 山野草
この記事へのコメント
こんばんは!!
閑散とした静かな平池を独り占め~~贅沢な一時ですね^^
未だ行った事がありません、カキツバタが咲いてなくても訪ねてみたくなります。
空梅雨です石田川ダムの水もこんな状態ですと深刻になりそうですね!
Posted by パルパル at 2009年06月28日 22:37
カキツバタは何月ごろが見ごろなんですか
この前 小入谷にいったら カキツバタ湿原地とありましたが
咲いていませんでした
Posted by オカキオオカキオ at 2009年06月28日 09:18
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