2009年04月25日 奥美濃の蕎麦粒山
日付 2009年4月18日(土)
山名 蕎麦粒山(そむぎやま) 標高1296m
コースタイム 野洲駅 6:00 大谷林道駐車場 8:30 徒渉地点 10:35
分岐点12:30~13:00 頂上 14:10~20
分岐点15:30 大谷林道駐車場18:30
山友達から「蕎麦粒山に行かないか」と誘いがあった。妙な山名である。「蕎麦」を漢字で正確に書けないが、ソバと読める。粒はツブと読めるので併せて「そばつぶやま」であるが、「そむぎやま」と呼ばれている。 どうも、粒と言う文字から小さいことが、蕎麦から山稜形の黒い皮の果実のイメージが沸き、山の姿は、小さな三角錐になっていることが推測された。
奥美濃は、小生にとって不案内な山域で、殆ど分からない。この山について山友達に尋ねると、「一度は訪れるべき名峰で、知る人ぞ知る山だ」と言い、ある人は「二度と行きたくない山」といわくのある山のようだ。
地図→蕎麦粒山 岐阜県の最西端の揖斐郡揖斐川町
駐車場から 「奥美濃のマッターホルン」と呼ばれる蕎麦粒山を一望
野洲駅を朝早く出発して、竜王IC~木之本IC間を高速道路を使い、更に木之本~坂内区間を国道303を走った。「遊らんど坂内」の大きな看板を左折して大谷川沿いの林道を進み、蕎麦粒山への入り口にやってきた。日帰り登山のアクセス時間として2時間半は長い。
電子国土の地図では、まだ先に林道が続いているが、かなり手前で車止めとなったので怪訝に思えた。後で分かったのだが、前方の林道が大崩壊し廃道になっていたようだ。
今日は、想像以上に長丁場になると予想されたので、各自で体操をして、早々に出発して行った。駐車地のすぐ先で、二つに山道が分かれていたが、道標も無いのでそのまま大谷川沿いに進んでしまった。これが誤算となった。道はどんどん悪くなり踏み跡が無くなり、やがて行き詰まってしまった。仕方なく、沢から中段に付けられた林道に抜け出すため、切り立った谷面をよじ登り何とか林道に出た。出足から強烈なアルバイトを強いられたが、全員元気であった。
平坦な道をしばらく行くと、徒渉地点にやってきた。既に出発してからルート間違いもあり、2時間かかってしまった。それにしてもこの廃道には滲みずが湧き出し、野草にとっては楽園となり、花が咲き乱れていた。ひとつ、ひとつ名前を教えてもら
い、その都度書きとめた。ハート形の葉をつけたピンク色と白色カタバミ,イカリ草、スミレ、猫の目、イワウチワ、エンレイ草、ワサビの花…などその他色々。
この中で大きな葉に非常に小さい花をつけたユーモラスなエンレイ草が気を引いた。エンレイ草は「延齢草」と書く薬草である。いかにも長生き出来そうな名前が付けられた植物である。
いきなり尾根の取り付

徒渉地点から本格的な登山路となる。
一気に頂上まで標高差500m程あるが、一先ず1180m分岐点を目標にした。徒渉後、いきなりの尾根の取り付きである。1歩ずつが目の高さの岩や木などを掴みながらの登りになった。尋常な急登ではない。
ひとつ難所を越えると新たな難所が現れる。文字通り一直線につけられた登山路を喘ぎながら進むことになった。
手が届くところに、今年初めてのピンク色のシャクナゲ、白く映えるタムシバが次々と迎えてくれた。ここで、ひとつ発見したことがありました。華麗に咲くシャクナゲには香りが全くなかったが、素朴なタムシバに近づくと、ほのかに高貴な香りを放っていました。その中で、若い花弁だけに限られ、あまり幼い花とか、熟成した花は、香りを放つことが出来ないようだ。ちょっとしたこと見付けると、非常に楽しい。
また、足元にはイワウチワの花があちこちに咲き、地面を這うように伸び、ピンク色の釣鐘型の花をつけたイワナシも見られた。春ならではの開花の時期にでくわしたことに全員大満足になった。
それにしてもこの急登はひつこく抵抗され、みんな根負けしそうだ。
シャクナゲ タムシバ


イワウチワ イワナシ



胸突八丁の急登が続いたが、やがて傾斜は緩みだした。左側のブナ林越しに「やっと」蕎麦粒山の山容が現れてきた。尾根を昇り詰めると、直ぐに分岐点に到達すると思われた。だが緩くなった登りがまだまだ続き、山道は、両脇から雑木が覆い行く手を阻んできた。12時を過ぎたので、昼食をとろうとしたが場所もなく歩き続けて露岩のある稜線の分岐点に到着した。ここは蕎麦粒山と小蕎麦粒山分岐点である。
蕎麦粒山
昼食を取りながら、今後の計画を話しあっている所に2人ずれの下山パーティが、背丈以上のササから出てきた。汗だくで真っ赤な顔していた。彼らに様子を聞くと「1180mピークからの蕎麦粒山は直ぐそこにみえるが、往復約2時間以上かかる」との返答であった。地図上の直線距離約1000m単純標高さ110mであったが、やぶこぎが相当厳しそうだ。すでに13時になっていたが、登頂後、徒渉地点に明るい17時までに戻れるとの判断から、蕎麦粒山へと前進することにした。眼前の蕎麦粒山を見ながら東側に張り出している肩に乗り、一部残雪のある稜線沿いに進み頂上へ達することを確認した。
まず、登山路入口がネマガリダケで塞がれて分からない。屈んで見ると僅かな踏み跡があるので、潜り込んで行った。
ネマガリダケの藪に突入した。竹のなびき具合が気になる。行きて方向に寝ていれば何とかなるが、起き上がってくる方向の竹は始末が悪い。約80m下った。鞍部付近では雪解後の笹が曲がったまま道を覆っていて滑り易い。
再び登りにさしかかった。ヤブはトンネル状となり、かき分けて進むことになった。まことに、竹が擦れ合う音がこもり、やかましい。一度騒音計で測ってみたい。こうなると足元にカタクリが一輪咲いていたが、どうでもよかった。仕方なく、やぶこぎの方法を考えあぐんだ。後続者が、離れると返り竹に合わないで済む。…それとも接近して返り竹が来る前に一緒にくぐり抜けてしまうのがよいのか色々試したがどちらもあまり変らない。
やがて、尾根を登り詰めるとブナが立っている地点、北側の肩(写真右)に達した。山稜のヤブこぎは少し楽になったと思ったら、
今度は、最近まで雪の下にあったと思われる最強のシャクナゲ群落に突入した。ヤブどころではない。繁茂した枝が起き上がり、激しく前進を阻んだ。唯一、所々に残雪があるところに来るとヤブから解放され「暫しほっと」した。
頂上直下の雪渓
悪戦の末、頂上直下にやって来た。最後の急登を登りきると低い潅木に囲まれた細長い頂稜に達した。南西方向にわずかに戻って蕎麦粒山山頂(1296m)に出た。
山頂は360度の展望で、どちらを見ても果てしなく続く山並みが折り重なっている山岳地帯だ。小生にとって奥美濃地区は、初めてで山名も分からないまま呆然と眺めていた。唯一分かったのは、遠くに見える冠雪した白山、別山が一望できて懐かしく思った。弥陀ヶ原にてリングワンデルングに陥ったことなど昔を懐かしんだ。
冠雪した白山、別山
既に、午後2時を回っており、時間的猶予が無くなってきているので、下山にかかった。分岐点に戻ってきたのが午後3時半、時間的にぎりぎりであった。徒渉地点に午後5時10分到着。夕暮れの林道を下っていった。大谷林道駐車場に戻ってきた時には辺りが既に暗くなっていた。
蕎麦粒山は、思いのほか厳しいヤブ山であった。その証としてストックの先端シャフト・万歩計・帽子を失い、時計の針がずれ・腕は血だらけとなった。一方、春の山野草、シャクナゲの花に出会ったのは望外であった。展望にも恵まれ充実した1日になった。
ところで、「もう一度挑戦」と聞かれると、体力と相談してから…。
暮れていく山並み
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山名 蕎麦粒山(そむぎやま) 標高1296m
コースタイム 野洲駅 6:00 大谷林道駐車場 8:30 徒渉地点 10:35
分岐点12:30~13:00 頂上 14:10~20
分岐点15:30 大谷林道駐車場18:30
山友達から「蕎麦粒山に行かないか」と誘いがあった。妙な山名である。「蕎麦」を漢字で正確に書けないが、ソバと読める。粒はツブと読めるので併せて「そばつぶやま」であるが、「そむぎやま」と呼ばれている。 どうも、粒と言う文字から小さいことが、蕎麦から山稜形の黒い皮の果実のイメージが沸き、山の姿は、小さな三角錐になっていることが推測された。
奥美濃は、小生にとって不案内な山域で、殆ど分からない。この山について山友達に尋ねると、「一度は訪れるべき名峰で、知る人ぞ知る山だ」と言い、ある人は「二度と行きたくない山」といわくのある山のようだ。
地図→蕎麦粒山 岐阜県の最西端の揖斐郡揖斐川町
駐車場から 「奥美濃のマッターホルン」と呼ばれる蕎麦粒山を一望

電子国土の地図では、まだ先に林道が続いているが、かなり手前で車止めとなったので怪訝に思えた。後で分かったのだが、前方の林道が大崩壊し廃道になっていたようだ。
今日は、想像以上に長丁場になると予想されたので、各自で体操をして、早々に出発して行った。駐車地のすぐ先で、二つに山道が分かれていたが、道標も無いのでそのまま大谷川沿いに進んでしまった。これが誤算となった。道はどんどん悪くなり踏み跡が無くなり、やがて行き詰まってしまった。仕方なく、沢から中段に付けられた林道に抜け出すため、切り立った谷面をよじ登り何とか林道に出た。出足から強烈なアルバイトを強いられたが、全員元気であった。
平坦な道をしばらく行くと、徒渉地点にやってきた。既に出発してからルート間違いもあり、2時間かかってしまった。それにしてもこの廃道には滲みずが湧き出し、野草にとっては楽園となり、花が咲き乱れていた。ひとつ、ひとつ名前を教えてもら

この中で大きな葉に非常に小さい花をつけたユーモラスなエンレイ草が気を引いた。エンレイ草は「延齢草」と書く薬草である。いかにも長生き出来そうな名前が付けられた植物である。
いきなり尾根の取り付

徒渉地点から本格的な登山路となる。
一気に頂上まで標高差500m程あるが、一先ず1180m分岐点を目標にした。徒渉後、いきなりの尾根の取り付きである。1歩ずつが目の高さの岩や木などを掴みながらの登りになった。尋常な急登ではない。
ひとつ難所を越えると新たな難所が現れる。文字通り一直線につけられた登山路を喘ぎながら進むことになった。
手が届くところに、今年初めてのピンク色のシャクナゲ、白く映えるタムシバが次々と迎えてくれた。ここで、ひとつ発見したことがありました。華麗に咲くシャクナゲには香りが全くなかったが、素朴なタムシバに近づくと、ほのかに高貴な香りを放っていました。その中で、若い花弁だけに限られ、あまり幼い花とか、熟成した花は、香りを放つことが出来ないようだ。ちょっとしたこと見付けると、非常に楽しい。
また、足元にはイワウチワの花があちこちに咲き、地面を這うように伸び、ピンク色の釣鐘型の花をつけたイワナシも見られた。春ならではの開花の時期にでくわしたことに全員大満足になった。
それにしてもこの急登はひつこく抵抗され、みんな根負けしそうだ。
シャクナゲ タムシバ


イワウチワ イワナシ



胸突八丁の急登が続いたが、やがて傾斜は緩みだした。左側のブナ林越しに「やっと」蕎麦粒山の山容が現れてきた。尾根を昇り詰めると、直ぐに分岐点に到達すると思われた。だが緩くなった登りがまだまだ続き、山道は、両脇から雑木が覆い行く手を阻んできた。12時を過ぎたので、昼食をとろうとしたが場所もなく歩き続けて露岩のある稜線の分岐点に到着した。ここは蕎麦粒山と小蕎麦粒山分岐点である。
蕎麦粒山

昼食を取りながら、今後の計画を話しあっている所に2人ずれの下山パーティが、背丈以上のササから出てきた。汗だくで真っ赤な顔していた。彼らに様子を聞くと「1180mピークからの蕎麦粒山は直ぐそこにみえるが、往復約2時間以上かかる」との返答であった。地図上の直線距離約1000m単純標高さ110mであったが、やぶこぎが相当厳しそうだ。すでに13時になっていたが、登頂後、徒渉地点に明るい17時までに戻れるとの判断から、蕎麦粒山へと前進することにした。眼前の蕎麦粒山を見ながら東側に張り出している肩に乗り、一部残雪のある稜線沿いに進み頂上へ達することを確認した。
まず、登山路入口がネマガリダケで塞がれて分からない。屈んで見ると僅かな踏み跡があるので、潜り込んで行った。
ネマガリダケの藪に突入した。竹のなびき具合が気になる。行きて方向に寝ていれば何とかなるが、起き上がってくる方向の竹は始末が悪い。約80m下った。鞍部付近では雪解後の笹が曲がったまま道を覆っていて滑り易い。
再び登りにさしかかった。ヤブはトンネル状となり、かき分けて進むことになった。まことに、竹が擦れ合う音がこもり、やかましい。一度騒音計で測ってみたい。こうなると足元にカタクリが一輪咲いていたが、どうでもよかった。仕方なく、やぶこぎの方法を考えあぐんだ。後続者が、離れると返り竹に合わないで済む。…それとも接近して返り竹が来る前に一緒にくぐり抜けてしまうのがよいのか色々試したがどちらもあまり変らない。
やがて、尾根を登り詰めるとブナが立っている地点、北側の肩(写真右)に達した。山稜のヤブこぎは少し楽になったと思ったら、

頂上直下の雪渓

悪戦の末、頂上直下にやって来た。最後の急登を登りきると低い潅木に囲まれた細長い頂稜に達した。南西方向にわずかに戻って蕎麦粒山山頂(1296m)に出た。

山頂は360度の展望で、どちらを見ても果てしなく続く山並みが折り重なっている山岳地帯だ。小生にとって奥美濃地区は、初めてで山名も分からないまま呆然と眺めていた。唯一分かったのは、遠くに見える冠雪した白山、別山が一望できて懐かしく思った。弥陀ヶ原にてリングワンデルングに陥ったことなど昔を懐かしんだ。

既に、午後2時を回っており、時間的猶予が無くなってきているので、下山にかかった。分岐点に戻ってきたのが午後3時半、時間的にぎりぎりであった。徒渉地点に午後5時10分到着。夕暮れの林道を下っていった。大谷林道駐車場に戻ってきた時には辺りが既に暗くなっていた。
蕎麦粒山は、思いのほか厳しいヤブ山であった。その証としてストックの先端シャフト・万歩計・帽子を失い、時計の針がずれ・腕は血だらけとなった。一方、春の山野草、シャクナゲの花に出会ったのは望外であった。展望にも恵まれ充実した1日になった。
ところで、「もう一度挑戦」と聞かれると、体力と相談してから…。
暮れていく山並み

1日1回 please click

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Posted by
nonio
at
17:43
│Comments(
3
) │
近隣の山
この記事へのコメント
こんばんは
よく引き帰さずに登られました~!!でも危険が一杯です!!
そんな山ですから山草にとっては楽園なんでしょうね。
お花に出会えると本当に嬉しいです~♪
どうぞ気をつけて山を楽しんで頂きたいと思います^^
よく引き帰さずに登られました~!!でも危険が一杯です!!
そんな山ですから山草にとっては楽園なんでしょうね。
お花に出会えると本当に嬉しいです~♪
どうぞ気をつけて山を楽しんで頂きたいと思います^^
Posted by パル at 2009年04月28日 22:10
nonioさん、すごいですね。
私もそばつぶ山って読んで、そむぎやまって初めて知りました。
>林道が大崩壊し廃道・・・初めから難関関所でしたね。
道がそのようになっているのに、あえて挑むってすごいです。
でも、途中で癒しの花が出迎えてくれたことで、力を頂き、挑戦・・・
すごいの一言でした。
私もそばつぶ山って読んで、そむぎやまって初めて知りました。
>林道が大崩壊し廃道・・・初めから難関関所でしたね。
道がそのようになっているのに、あえて挑むってすごいです。
でも、途中で癒しの花が出迎えてくれたことで、力を頂き、挑戦・・・
すごいの一言でした。
Posted by ノンノン
at 2009年04月28日 02:10

nonioさん
こんばんは、
蕎麦粒山(そむぎやま)ブログを拝見しましたが今回は大変苦労されたみたいですね、
でも最後まで頑張り登頂できて良い思い出になりましたね、
身体あっての登山ですので気を付けたください、
又訪問させてもらいます。
こんばんは、
蕎麦粒山(そむぎやま)ブログを拝見しましたが今回は大変苦労されたみたいですね、
でも最後まで頑張り登頂できて良い思い出になりましたね、
身体あっての登山ですので気を付けたください、
又訪問させてもらいます。
Posted by 山の神 at 2009年04月25日 20:35
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