2008年10月02日    武奈が岳

日付 2008年9月23日(火)
距離 約20,000歩
コースタイム JR近江高島駅9:00 ガリバー青少年旅行村9:40出発 大摺鉢10:25 
         広谷12:00 武奈ケ岳13:00〜13:40 八雲ケ原14:40 
         北比良峠15:15 カモシカ台15:45 大山口16:50 JR比良駅17:35
 比良山は、京阪神の山を愛好する人達にとって、なじみ深い山である。
 
 今回の山行きでは、「大摺鉢から広谷までの途中に、アシウスギの大木がある」と聞いていたので期待していた。京都の芦生の森にも同類のスギが生育しているが、この地名をとって名づけたのであろう。

突然、目の前にするとその大きさに圧倒された。風雪を耐えしのぎ、太い枝が何本も逞しく上に伸びている巨木のさまは、強靭さと悠久の時の流れを感じた。

   武奈が岳
                精霊が住みそうなアシウスギの巨木


 ガリバー少青年旅行村を遅めの出発となった。右側の林道から入山し、側溝沿いに付けられた脇道を伝った。雑林帯に入ると、樹木名の入った表示板が、あっちこっちにけられ、退屈しなかった。ミズナラとブナの見分け方のひとつとして、「ミズナラは、幹の縦方向に大きな割れ目がある」ことを知っていたので、確認してみると意外に一致していた。坂を登り切って、もみじ谷にやってきた。

 遊歩道を進んでいくと、右手側の魚止の淵・障子ケ淵への下山は、下り禁止の道標と虎ロープが張ってあった。ところで、先月8月15日、障子ケ淵から長い鎖を伝ってよじ登り、この場所に辿り着いたことが、思い出された。
大摺鉢ノ淵には直ぐに着いた。この滝は、沢を渡って正面から眺めると、大きなすり鉢に水が流れ込んでいるよう形になっていた。この名前がついた由縁だろう。また、前回見つけられなかった大摺鉢ノ淵のシンボル「八徳」が彫られた大岩もあった。写真の文字は、篆書体(てんしょたい)の八徳。つまり、つの徳とは、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌(てい)のことである。
   武奈が岳   武奈が岳   武奈が岳
         側溝沿の脇道         ミズナラ・ブナの自然林           もみじ谷
   武奈が岳   武奈が岳  武奈が岳         
     下り禁止の道標         大摺鉢ノ淵                  篆書体で八徳

      
          拡大は各写真をクリック     
 沢沿いの登山路をしばらく進んだ。細くなった沢を渡り、左手の山腹に付けられた登りが続いた。 突然、なかなか見応えのあるアシウ杉の大木に出会い驚いた。神秘的で精霊が住んでいそうな雰囲気であった。平坦な道に変わり、広谷へと向かった。このあたりは、訪れる人も少なく静寂であった。時折、谷間から吹いてくる風が快い。静寂の中に、沢の水音が、より心良い。
 広谷は、二つコースの分岐点になっている。木橋を渡り、イブルギのコバから武奈が岳へのコースを取った。橋を渡らず細川越えから、北稜を伝って武奈が岳へは、時間がかかり過ぎると判断された。
 この「コバ」とは、辞書を調べると、「漢字では木場と書き、切り出した木材を、一時集めておく山間の平地」という意味の言葉である。イブルギのコバは、三つの道が出会う合流点になっており、昔から木材の集積所として重要な場所であったんだろう。杣人は、ここで休憩もしていたのであろう。     
   武奈が岳  武奈が岳     武奈が岳
     細くなった沢          分岐点の橋                   イブルギのコバ 
  拡大は各写真をクリック

 ここより、ブナ林に覆われた沢沿いの道を登っていった。深く掘れた溝状になった登山路を進むと、除々に樹木が少なくなり、木の間から、僅かに頂きが目えるようになってきた。コヤマノ岳と武奈が岳の鞍部に出て、笹に覆われた尾根道を登り切ると、そこは、武奈ヶ岳の頂上であった。
   
 イブルギのコバ付近では、アシウスギの巨木もあり森全体が鬱蒼 と茂った数々の樹木に覆われて、昼間でも、薄暗い。



   武奈が岳


 コヤマノ岳と武奈が岳の鞍部の手前、僅かに頂きが目え始める地点になると、ブナはすくすくとした
伸びやかな姿になり、登山路まで木漏れ日が射し込んでいた。

  武奈が岳

     
 武奈が岳への最後の急登付近では、潅木が僅かになり、笹が多くなった。冬季の寒さ・積雪に耐えがたくなり 、植物も小型化してきた。

  武奈が岳


 武奈が岳付近の森林限界地点          
  武奈ヶ岳付近の稜線では、積雪と強風の影響を最も強く受け、樹木が生育しなくなる。
これ以上の地点には、樹木がない。人間にとっては、全く感知できないが、植物にとっては、この一線を越えると生存できない厳しい環境の変化があるのであろう。 この点が森林限界であるが、常々、何があるか樹木に問いかけているのだが。

 草地のドーム状の武奈ケ岳(標高1214.4M)は、比良山系の最高峰である。この名前の由来は、まさしくブナの名前に関連して付けられたのであろう。山頂からの眺望は、360度展望ができた。 ほぼ南の方向に、比良山系のもう一つのシンボルである蓬莱山(1174m)と打見山(1108m) などの山並みがみえた。 数年前、冬季に通過した西南稜も懐かしい。

  武奈が岳



        武奈が岳  武奈が岳 
           蓬莱山の遠望              西南稜                     
 登山ルート下山は、登ってきた道を戻り イブルギのコバを経由して八雲ケ原についた。 途中、既に秋の気配を感じたのか群生した銀色のススキが、風になびいていた。北比良峠で一息いれて、ダケ道を一挙に下った。日の落ちるが早まってきたのかカモシカ台では、薄暗くなってきた。風化した溝状の中を歩き、正面谷の 川原に出て、川の橋を渡り大山口に到着した。後はイン谷口まで広い道を下っていき、比良駅まで歩いた。

                 
   

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  H氏主催の武奈ケ岳登山に参加した。ガリバー少青年旅行村から大摺鉢を経由して武奈ケ岳を目指し、下山は、北比良峠からイン谷であった。武奈ケ岳を往復するルートとしては、リフト・ロープウェイ廃止後、人気のあるコースである。 
 野洲住人にとっては、一歩家を出ると、東側には、近江富士と称される端正な三上山が、西側には、標高1000mを越える比良連峰が目に入る。
 特に、「比良の八紘(はっこう)荒れじまい」と言われる春先の季節での遠望が面白い。琵琶湖上と比良山地の温度差によって生じた風が、突発的に吹き荒れることがある。
冷たい風が吹き荒れ、峰々が真っ白となった時の比良山は、神々しい。また、風がなくなり温暖な時には、かすみがかり薄青色に変化する。私は、この色調の変化より、コントラストの変化を楽しんでいる。
 最も気に入っている場所は、「希望が丘文化公園」のウォーキングの戻り時、銅鐸博物館前付近の道路(希望が丘北線324号)である。天気がよいだけではダメで、風が吹き澄み切った時にのみ、僅かな琵琶湖と対岸の山並みが見られる。波の揺らぎにより湖面がきらきらとひかり、水平に伸びた湖面とリトル比良の山並みの裾野が相まった風景が、まことに素晴らしい。
広重の名画の「比良の暮雪(ぼせつ)」として、比良山が、知られているが、私にとっては、これ以上の構図と思っている。

 ところで、権現山・蓬莱山・打見山・比良岳・烏谷山・堂満岳・釈迦岳などの峰々が続いている。だが、武奈ケ岳は、堂満岳の後ろで見ることが出来ない。
どうしても、比良山の主峰である武奈ケ岳(標高1214.4M)に訪れなければならないと思っていた。

 武奈ケ岳との出会いのひとつは、一昔前、江若鉄道を乗り継いで、比良駅から金糞峠を経由したルートで辿ったことがあった。その時、武奈ケ岳に登っていたが全く記憶になく、比良の女王とでも称すべきシャクナゲが登山路を塞ぐように群生していた。申しわけなかったが、傾いた枝を踏み倒し、踏み倒したことしか記憶にない。そして、数年前、坊村から西南稜を通り武奈ケ岳の頂上を踏んだ。ところが、厳冬期で、すっぽりと雪に覆われた姿であった。
 今年の4月27日、釣瓶岳へ行った際、周辺の峰々からひときわ高い武奈ケ岳が見られた。
このとき初めて、姿の概容をイメージできた。これらのことから、武奈ケ岳の姿を確かめたいとの思いに駆られていた。





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Posted by nonio at 00:41 │Comments( 0 ) 比良山 樹木
 
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