2019年05月25日    比叡山を「都の富士」と言わしめた圓通寺

 
 比叡山を「都の富士」と言わしめた圓通寺へ出向いた。ここに心を留めていた友人と京都市営地下鉄北山駅で下車。高級な住宅街を抜け、坂道を辿っていくと、目当ての建物を見つけた。

 受付の無愛想な和尚は、差し出した拝観料金を受け取りながら、いきなり「庭園に限って撮影はいいが、その他は禁止」と高圧的だ。
決して気分のいい居どころではなかった。が、訪れる人もなく、周りは静寂そのもの。

 薄暗い客殿内からの眺めは、生垣越しの雄大な「比叡山」が借景となった楚々とした庭園であった。カメラのファインダー越しの視点では、濡縁・庭園・生垣・樹木そして比叡山の5ツの静物としてとらまえられ、色んなことがくみとれるものだ。

 庭を取り囲む「生垣」だが、「比叡山」を際立ださせている重要な役目をしていることに気付いた。一般に、風景は近景・中景・遠景から空間の奥行きを感じとれるのだが、生垣によって、中景を抹消させて独特の景色を創り出していた。

 生垣の先の庭園外の「樹木」も取り込み、横向きには樹間、縦向きには客殿の「濡縁」と庇の間に、ちょうど比叡山が納まるよう配慮されていた。また、幹と比叡山と重ならない間隙を見出す位置は、どこかと考えさせる憎い演出もされていた。    
 「庭園」の枯山水は石を配した大小40余りの庭石だけである。出しゃばらない庭は、より一層比叡山を強調させていた。
圓通寺の借景庭園は、引き算とすき間風景を緻密に設計された庭園であった。

このそぎ落とされた光景に抹茶も頂き、2時間も身を置いていた・・・・・。

 さて、本題に入る。滋賀県で富士とつく山が7ツもある。
 書き並べると、近江富士/三上山(432.0m)・湖北富士/山本山(324m) ・都の富士/比叡山(848.3m)・甲西富士/菩提寺山、竜王山(363.3m)・丹生富士/七七頭が岳(693.1m)・元富士/ 奥島山(322.8m)・杉野富士/墓谷山(738m)。 富士の名がつく滋賀県の山


 殆どが、おらが村の地名を付けて「〇〇富士」と親しみを込めて名づけられているようだ。 なお、奥島山が「元富士」と呼ばれているのは、『近江與地志略』に記されていたからだ。「富士山よりもこちらの山の方が、本家本元である」とは、いかがなものか。

 さて、この中でどうもしっくりしていないのが、「都の富士」。

 この山を「都の富士」と呼ぶことに、前々からいささか違和感があった。「都」の文字からすると、京都側から眺めたことから名づけられたものである。京都の庭園の風景に比叡山を取り込んだ“借景”が、余りにも美しいので、こう呼ばれたのであろう。

 ところで、大津市と京都市左京区の県境に位置する大比叡(848.3m)と左京区に位置する四明岳(838m)の双耳峰である。
圓通寺から見える山頂は、四明岳であり、大比叡の頂は四明岳に隠れてしまうので、左右対称の流れるような裾野を持った素晴らしい形になった。だけど、比叡山の最高峰ではない。

 「標高が僅かな差なので、どっちでもいい」と言いたいのだろうが、烏丸半島から眺めた姿は、大比叡である。
 滋賀側ではどう呼ばせるのがいいのかなぁ?

圓通寺から眺めた比叡山
比叡山を「都の富士」と言わしめた圓通寺
比叡山を「都の富士」と言わしめた圓通寺比叡山を「都の富士」と言わしめた圓通寺

烏丸半島から眺めた比叡山
比叡山を「都の富士」と言わしめた圓通寺








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Posted by nonio at 06:19 │Comments( 0 ) 京都
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