2012年02月17日    群青色の逆さ三上山

 「しんしん」と降っていた雪も止み、朝には陽が射し込み、肌を刺すほどの冷たさはなかった。屋根に積った雪は、瞬く間に融けていってしまったが、朝のひととき、一面の雪景色を見ることができた。 あても無く、林に蔽われた林道を辿っていった。
 まだ若葉も出ていない潅木林帯は、陽射しがよく驚くほど明るい。 落葉に覆われた林床では,春を告げる植物たちが柔らかい陽光を浴びながら、落葉の下で静かに春を待ちわびていた。

群青色の逆さ三上山  木の幹や枝の梢より、雪解けのしずくが「ぼとぼと」と降りしきる林道を進んでいくと、潅木が刈り込まれた一角があった。視界が広がった正面に、今まで目にした事がない近江富士の山姿が現われた。 

 太陽光が近江富士の東側斜面に射しこむ光量があり、水面に映った逆さ近江富士の反射光の角度など色んな条件がよほど揃ったのであろう。眼前の近江富士と水面に映る近江富士の山影2ツが上下反転した形で仲良く並んでいた。

 空は淡い青色に染まり、水面は空の色が反映して、色は明るみを増し、鮮やかな色合いをしていた。更に手前の「みなも」は、濃い赤味の青瑠璃色とまでいかないが、藍色系統では最も深いとされている色、紺色であった。「青の集まり」という意味からすると群青色の表現が相応しいようだ。

 一枚の鏡のように澄み凪いだ「みなも」になり、前日の雪ですっかり大気も浄化され、白い雪が辺りに残っている事が影響したのか、波長の長い赤色の自然光は氷の粒子に吸収され、群青色の世界が出現したようだ。

 その後、この場に何回も訪れたが常にさざなみが立ち、鏡面化した水面にならず、幾何学的景観が見られなかった。増してや、明度が高く彩度の低い、淡い青色も、明度が高く彩度の低い群青色の水面は一回も現われる事がなかった。






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Posted by nonio at 11:56 │Comments( 0 ) 三上山
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