2011年10月11日    ブナ林の大黒山

 山の親友S氏が計画した湖北にある大黒山に行った。この山は展望も悪く、これと言った特長もない地味な山だが、再来訪してみたい衝動に駆られた。風格のあるブナの巨木の出会いがあったからだ。どのぐらい生延びて来たのであろうか、その樹齢すらわからない。滅多に出くわせない大木である。

  レイカディア大学の講義で朽木の森の案内人、青木繁より「安曇川源流のトチノキの巨木林」の講義を受けたことがあった。講義の内容は殆ど忘れてしまったが、私の心を突き刺すような言葉があった。正確ではないが「巨木の寿命は、人間がその木の寿命を決めていることが多い」と指摘された。人間の欲であったり、都合によって切り倒してしまい、その命を奪っていることを思いだした。

 この老木はあまりにも山深いところに育ち、たまたま橅(ブナ)であって、成長が遅く腐りやすいので、木材としての価値がないとみなされ、人間と言う魔の手から免れた。無論、風雪にも耐え幸運にも大木になった。

 ブナ林の大黒山
 
 今回は、椿坂峠から大黒山(891.5m)・P859(東峰)。帰路は 途中から巡視路を通りP753から大黒山分岐に出て椿坂峠に戻ってきた。

 余呉町から北国街道(国道365号線)北上。道路をうねうねと曲がりながら坂を登りきると椿坂峠に着く。数台駐車できるスペースがあり、かりかけ地蔵菩薩を見遣りながら、椿坂峠から北に50mほど下ると登山口があった。入り口は、草に蔽われ不安であったが、登山道はしっかりしていた。

 いきなりの急登である。頂上までほぼ400mの標高差を一挙に登る。椿坂峠から200mほど入ったところにこのブナの大木があった。V字型の掘れこんだ道を辿っていった。左に巻く道になると急登から開放され、静かなブナ林の森が広がっていた。余裕もでき、清々しい空気を胸いっぱいに吸い込み、心地よさを満喫した。

 二等三角点がある大黒山の頂上は、雑木が生い茂り、見晴らしが利かない。一休みしてブナ林の森の中を進んでいくと、二本の木が繋がったようなブナの巨樹が現われた。この木は、すらりと空に向かって「すくすく」と伸びていた。

ブナ林の大黒山

 小さなヘリポートを過ぎると東峰P859mに出た。ここで昼食を取り、引返した。このピストンだけのルートでは物足らないので、ブナの巨樹近くのP753を経由して大黒山に戻るルートをとった。余呉トレイル詳細マップ
 
 このルートは標高差100m足らずであるが、結構ハードであった。数年前の余呉トレイルマップでは、このルートは実線であったが、最近のマップでは点線に変更されている。特に、大黒山から東峰P859m間、送電線巡視路鉄塔の巡視路が所々にあるが迷い込まないようにしたい。

             鉄塔越しに見えるのが形のいい妙理山
ブナ林の大黒山

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Posted by nonio at 09:02 │Comments( 0 ) 滋賀県の山
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