2008年04月10日    早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)

日付 2008年4月5日(土)
参加者 6人 歩数12,500歩
コースタイム 自宅7:20出発 茶屋川林道茨川 9:30 蛇谷p893 11:15 藤原岳12:20〜13:00
迷い尾根14:30冶田14:50 茨川 15:35              

 T氏より福寿草が咲いている藤原岳に行こうとの誘いがあった。彼は、山友達の中で最も屈強な男であり、鈴鹿山系をGPS片手に歩きまわっている山男である。その上、人懐こい性格である。

 この山は鈴鹿山系の北部に位置し、「鈴鹿の花」として知られ、フクジュソウが咲く3月下旬〜4月上旬は、多くのハイカーが訪れる。

 ほとんどの人は、聖宝寺道を登って大貝戸道を下るコースを選んでいる。健脚者は、白船峠から稜線を歩いて藤原岳のルート、冶田峠から稜線を北上するルートなどもあるが、すべて三重県側の登山路である。
彼の提案は、「滋賀県側の茶屋川を遡行し、西尾根の秘境ルートで藤原岳を目指そう」と言うものである。1年前から滋賀県側ルートを練っていた。  我々は、2台に分乗して、国道421号線(八風街道)を通り、鈴鹿山脈の奥深いところに向かった。

 茶屋川林道は、茶屋川に沿って伸びる未舗装の林道である。雪解け後に落石が発生したのであろう、いたるところに石が散乱していた。車の底を擦りながら険しい山道を延々と走った。

 ほぼ中間地点にある折戸隧道から、静ケ谷・太夫谷などの谷を次々と越えて、やっと、茶屋川林道の終点の茨川に到着した。ここで、道もなくなり、忽然と廃村が現れた。早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)  
                       茶屋川林道終点の茨川            
 
 茨川は、江戸時代に蛇谷で銀鉱脈が発見され、多くの人が集まり集落ができ、賑わっていた時もあったが、昭和40年ごろ廃村となり、現在では、山岳部の基地になっていた。
     
        早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                    廃村が山岳部の基地
 まず、西尾根の取り付きを目指した。以前、T氏は、三筋滝から真の谷を目指した時、一度、西尾根を通過し、様子が判っているので、気楽に茶屋川を遡行していった。川床は、案外幅広く川筋が蛇行していた。

このため、前に進むには、右岸・左岸と徒渉しなければならなかった。計画では、数回程度の渡渉と聞いていたが、増水気味で何十回にもなった。 

        早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                   清々と流れる茶屋川
        早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
               T氏大石を投げ込み懸命なるサポート (T女史提供)
       
      はじめは、女性達の靴を濡らさないように男性が大石を投げ込みルートつくりをしたが、一度、靴の中に水が入ってしまうともう本来の野生が目覚めたのであろう。ところかまわず水の中を歩いたりした。  澄んだ空気、清い水の大自然の中で、ゆったりと流れる時間を感じ取った。両岸から迫り出した緑色の樹木と、 白色かかった水とたわむれながら進んでいった。      
 西尾根の取り付き個所は、T氏がGPSですぐに確認した。川が大きく曲がり本流が狭くなり、支流が流れ込んでいた。
西尾根の登りはじめは、胸突き八丁の急登である。わずかな踏み跡を頼りに、何回もすべり落ちながらどんどんと高度を上げていった。所々に付けられたテープもあり迷うことはい。


       早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                     西尾根の取り付き          
 
  尾根の傾斜がゆるくなったところに ピーク893mの道標があった。このあたりまで登ってくると、自然林帯となっていた。 藤原岳から張り出している西尾根に数頭の動く影が見えた。群れをなしてカモシカが雑木林の間を過ぎ去ったいった。 一瞬の出来事で写真を撮ったが映っていなかった。また、天狗岳は、西尾根から見ると山稜がふくれており、特徴がある。 この辺は、鈴鹿山系の最も深いところで自然が色濃く残され、野生の動物も生息している秘境である。メンバー全員はこの自然に感謝し、感動した 。          


 藤原岳の展望ピークに近づいてきた。早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
踏み跡がない笹と背の低い灌木のなかを進んだ。突然、鮮やかな黄色の福寿草が群生帯に出くわした。また、鈴鹿の山に春の訪れを告げる「春の妖精」節分草も花を咲かせていた。            
     

       早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                   鮮やかな黄色の福寿草 
           
                              
           早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                   ひっそりと咲いている「春の妖精」節分草   
 
       稜線近くで藪こぎをしていると縦走路に出た。登りきったところが藤原岳展望丘山頂だった。頂上付近は、東側コースから登ってきた人たちで溢れていた。突然藪から現れたので、どこから登ってきたのと尋ねられ、「あっちから」と答えるとけげんな顔をしていた。

山頂からは、360度見渡せた。大勢の人が藤原避難小屋の周辺に見られた。又、登ってきた北西尾根もはっきり見え、今日のコースを取ったのは我々のチームだけだった。  

 
                早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                         藤原岳山上  

 昼食後、渋川に自動車をデポしているので、 迷い尾根・冶田峠を経由して、帰路についた。 左に大きく張り出した孫太尾根の雄大な遠望を眺めながら、 鈴鹿の縦走路に入った。途端、そこは、静寂を取りもどしていた。更に尾根道を下っていくと、再び福寿草の群落があり、咲き乱れていた。この県境縦走路の道筋は、はっきりしていたが、驚くほど厳しい急斜面である。誰もしゃべることなく、もくもくと下っていった。  
                     早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                       孫太尾根の遠望 

   迷い尾根で、数名のパーテーに出会った。彼らは、冶田峠から三重県側の新町に下りると言っていた。お互いの闘を祈って別れた。迷い尾根から渋川へ下ることもできるが、名前が名前だけに、冶田峠を経由することにした。冶田峠から渋川までの道は、「むかし、集落の人々が生活のために使われていたのであろう」と想いめぐらしながら、下っていった。青い屋根が見えて茨川廃村に着いた。 

 今日のルートは、鈴鹿の良さが詰まったすばらしかったことをT氏にお礼を伝え、帰路についた。

            早春の福寿草を求めて藤原岳(西尾根)
                       迷い尾根














         


























             
            






















 

            


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Posted by nonio at 09:00 │Comments( 0 ) 滋賀県の山
 
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