2009年06月02日   実を付けさせないイチゴ

  今、イチゴと言えば、クリスマスケーキの上に乗せられたり、正月前になると大粒のイチゴが行儀よくパックされスーパー店頭・八百屋に並べられたりして、冬のイメージが強くなってきています。そして、年中出回っており何時が旬なのか分からなくなっています。イチゴは、もともとの旬は、俳句の季語にあるように初夏なのです。ところが、イチゴの特性を利用して、秋が深まると、花芽を作って休眠を始めるのですが、この休眠を遅らせるか、また早めるかによって実を付ける時期を調節するため、いつでも口にすることができるようになってきました。

 さて、小生はイチゴを毎年30~35株植え付け、品種は、家庭菜園で最も作り易い「宝交早生」の露地栽培を行っています。収穫が終わると最も大切な時期を迎えています。

 イチゴ作りで現在、2ツこだわりを持って栽培に励んでいます。そのひとつは、収穫量に大きく影響を与えるランナー育苗です。
イチゴは多年生の宿根草ですが、株が古くなると実が多くなり小果になります。このため、ランナーの節毎に子苗が出来ますのでこれを養成します。親株1株からランナーが3~5本伸ばし、子苗にして20ケ程度株が出来ます。そして、「最初のランナーは親の病気などの性質を受け継ぐので、2番目から使用するように」と言われています。ここまでの知識は、イチゴを栽培すれば、直ぐに習得できます。
 さて、以前、農業学習でイチゴ業者がやっている水耕栽培を見学する機会がありました。定時間毎に自動的に液肥が送られてきます。小生にとってはこの栽培法についてはどうでもよかった。ただ、イチゴの苗作りに関心があった。

「これだけ多くのイチゴの苗がありますが、どう調達されているのですか」と質問した。
「新種の苗は購入しますが、苗が高いので、栽培しています」そして、
「ランナーの2番目以降を苗にします…」「そうですか」と受け答えた。
一般に言われている通りかと思っていると。…沈黙後、

「ランナーを伸ばす親株は、実をつけないようにして育てます」と秘密を打ち明けてくれました。

 現在、来年度のランナー育苗を育てる準備中です。畝幅100cmに対してこの苗の大きさは70cm以上あります。今後、ランナーがどんどん出てきますが、4本程度に制限しないと小さい苗が出来すぎて良い苗が出来ません。無論、追肥をしていきますが、イチゴの根は肥料に極めて弱いので離してやります。自作の魚かす比率の多い”ぼかし肥”をやっています。   ぼかし肥の造りかた

                 ランナー育苗の準備中

 
 2ツ目のこだわり。

 今までは、花が咲くと「せっかく花が咲いた」との思いですべてそのまま成長させていた。その結果、大きい粒が出来なかった。一昨年から、思い切って摘果をするようにした。摘果は、同じ花房の中でも、始めに咲いた素質のよい果実を残して、後発を摘み取った。花房は20~30個もの花が咲きますが、7~10個くらいまでにして一粒一粒を大きく育てるようにした。       
尚、今年2月頃には、暖冬気味になり、花が咲き果実してしまったが、これはすべて取り除いた。
                                                                      
   9月頃 植え付け             低温で休眠             4月頃摘果時期 
 


 5月連休から20日前後まで収穫が出来た。イチゴの粒は、15~20㎜程度。市販のイチゴは色んな品種が開発されて、大きくて甘くて美味しいですが、中身を割ると白っぽい。小生のイチゴは、本来イチゴに備わっている甘酸っぱい香りを持っており、所謂「こく」があります。割ると中まで赤く完熟しています、これは買うことが出来ません。
小粒もできたので、自家製ジャムに。思ったよりおいしかった。


           大粒イチゴ                        自家製ジャム
 



Posted by nonio at 19:52Comments(0)家庭菜園