2023年07月07日    40年に一度の花が咲いた/水生植物公園みずの森

その日は、日曜日だったのか、滋賀県草津市にある植物園の駐車場が満車になっていた。少し高台にある第2駐車場に行っても、自動車を駐める場所を探し回らなければならなかった。

入場券を購入するのももどかしく、目当ての植物のところに直行した。そこには豊かな緑が広がっており、その中でもニューサイランは一際目立っていた。名前を呼んでみると、その植物は微かに揺れながら返事をした。

「私がニューサイランです。ここは私の新しいホームです」と言った。そして自らの行きがかりを説明し始めた。「私はニュージーランドで生まれ、数年前にここに移植されました。この植物園で育つことで、新たな命を与えられたのです。でもねぇ、美しい花を引き立てる役割を果たすために植え付けられたのです」

「どうして」と相づちを打つと、
ニューサイランは微笑みながら答えた。「実は私は珍しい植物で、滅多に花を咲かせることはありません。─まあ脇役だね─」

「今日はたくさんの人がやってきたのは、どうしてでしょうか」と怪訝な様子で聞き返してきた。
私はその訳を話してやった。
「ユーを世話しているボランティアさんが、6月6日、ニューサイランが花を咲かせている」とTVで放映されたからだ。『30年から40年に一度しか咲かないと言われるニューサイランが、滋賀県草津市にある植物園で初めて開花し、見頃になった』」と騒ぎだしたから人が集まってきた。
「ユーが主役になったのだ」と明かしてやった。

次の日も、気になることがあったので、再び同じところに出向いた。
たまたま、ガイドさんがおられたので、見たことがある葉っぱについて、話しかけてみると、「ニューサイランの葉っぱは、生け花にされている。葉っぱの色は多彩で、ライムグリーンや深緑、シルバーグリーン、銅、赤色など多彩で珍重されている」と説明を受けた。

「なるほどなぁ」と私の疑問が解消した。

花を咲かせ、実をつけて子孫を繋いでいくためには、40年という単位はあまりにも長すぎる。 自然界は、私の理解を遥かに超えているなぁと思っていました。ところが、人の手で株分けされ、園芸種として栽培されることによって、世界的規模で繁殖する術を持ったようだ。植物の生き残りの多様性には驚かされた。 

ただ、寿命を全うするときに、花を咲かせると言われている。もしかしたら、来年も咲くのか、今年だけなのかはまだ分からない。この植物の様子を、少し見守りたいと思っている。

40年に一度の花が咲いた/水生植物公園みずの森
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