2023年12月14日    春夏冬の三季になったら

  私にとって、「毎年、秋が来た」と分かる木が山野にあります。その木の名前は知りませんが、晩秋になると、葉っぱが様々な色に染まります。私はそれを「虹色の葉っぱの木」と呼んでいます。しかし、今年の夏は高温かつ少雨で、近畿地方では水不足が生じ、琵琶湖の水位が低下しました。葉の色つきも悪く、瞬く間に散ってしまいました。今年は秋がなく、冬がすぐに到来したようです。

         一昨年の紅葉                今年の紅葉
春夏冬の三季になったら  春夏冬の三季になったら

 友達に、「今年は急に寒くなったね。四季が春・夏・冬の三季になってしまったようだ。取り立てて聞く必要もないが、私は『秋がなくなることで、秋の季語がどうなるか』と案じています」とラインで友人に問いました。

様々な返答がありました。

「今年に関しては、秋が短くなったな。俳句は刹那を詠むもので、暑い夏に感じる秋を密かな期待はまだしばらく楽しめそう」
「山は錦色に染まり、野は草紅葉…素晴らしい秋の季節がなくなる前に人生をお終わりたい」
「うーまず侘び・寂がなくなり、人の性格が激しくなるかも」
「松茸や栗が味わえなくなるし、寒くなると高齢者が大変だ」
「私には問題が難しすぎますが、郷愁の言葉がなくなるかなぁ」
「…………」

 日本列島は海に囲まれ、狭い島国でありながら、海と山が極めて近い地勢である。海洋性気候を受け、朝夕の寒暖の差や季節ごとの気候の差が大きく出やすい環境にあります。春には桜が咲き、夏には暑い日が続き、秋には葉が色づき、冬には寒冷で雪が積もるところです。
地球上でも日本のような四季がはっきりとした国々はわずかです。春・夏・秋・冬の季節の移ろいの中で、世界に例を見ないあらゆるものに精霊が宿ると言う日本固有の文化がはぐくまれ、自然と共存してきました。

 滋賀にゆかりのある松尾芭蕉が四季折々の俳句を残しています。彼が目指したのは、静寂の中の自然・人生観を詠みこんだことです。

春: 「古池や 蛙飛び込む 水の音」
夏: 「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
秋: 「秋深き 隣は何を する人ぞ」
冬: 「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」

秋の句は、晩秋の寂しさの中、隣から伝わる人の気配に思いを馳せ、温もりに満ちた世界を詠んだものでした。

 秋は、季節のうねりの中で夏の「動」から冬の「静」へ移行する間の一息つく季節です。この季節は、爽やかな風、紅葉の美しい彩りに包まれ、人々に静寂と調和をもたらしていました。その季節がなくなることで、人々の生活や感性にも変容が生じることになるでしょう。
GPT Chatにも同様に、「秋がなくなればどうなる。一言で」と質問をぶつけてみました。すると、環境問題などを述べることもなく、「寂寥」という言葉を差し向けてきました。あるべきものが無くなり、物悲しい感情が欠落するという言葉を選んできたことに感心しました。

 四季が三季に変わると、日本人の心情と文化にも深い影響が及ぶでしょう。季節の変化が日本の生活と共に息づいているため、それが減少することで、人々の感性や行動に変化が生じます。まず、日本人の季節感覚は深く根付いています。春の桜、夏の祭り、秋の紅葉、冬の雪景色といった季節ごとの風物詩が日常に溶け込んでいます。四季が三季に減ると、これらの風物詩が不足することで、人々の日常に寂寥感が漂うでしょう。季節感覚の薄れにより、人々は失われたものへの郷愁を感じることになります。








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Posted by nonio at 06:58 │Comments( 2 ) 四季
この記事へのコメント
悠ちゃん

 そうだね。地球が怪しくなってきていますねぇ。
有名な物理学者「スティーヴン・ホーキング博士は、『人類が存続するためには、100年以内に新しい惑星に移住する必要がある』と言ってます。
つまり、地球は温暖化で100年も持たないだろうと予言してます。

 それはそうとして、ドウダンツツジだと思います。
三上山の希望が丘側から少し登ったところに、私の背丈を少し越した木が自生しています。この葉っぱが紅葉してくると、色んな色彩に染まって来ます。
毎年、この虹色を見ては、「秋が深まってきた」と実感しています。
Posted by noniononio at 2023年12月14日 11:12
nonioさん~
秋の無い日本の季節は・・・ 考えられませんが( ^ω^)・・・

次第に温暖化が進み、干ばつのエリアや、大雨洪水が頻発する地域も拡がりつつ有る様ですね…   嫌な世の中と変わりつつある実感は 貴男と同じです。

一番困るのは 温暖化により 植物や魚類など・・・環境の変化により採れるエリアが 次々と北に移っている事です。  本来採れていた食べ物が取れなくなり、食生活や地域の伝統さえも奪われつつ有る様に感じています。

虹色の葉っぱの木 はドウダンツツジの仲間の様に見えますが…
Posted by 悠ちゃん4悠ちゃん4 at 2023年12月14日 08:00
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