2023年12月28日    水位の低下が紡ぐ琵琶湖の幻の道

 私は、取り立てた用事もなく、湖周道路を長浜へと北上していた。別名「さざなみ街道」とも呼ばれている。この道路は湖岸沿いに取り付けられ、物静かな景色が広がり、人気もめったにないところだ。

 突然、海老原漁港近くで道路脇に人が群がっている光景が目に飛び込んできた。駐車場が満車で、人々は興奮気味に漁港へと向かっていた。私は好奇心に駆られ、その流れに従ってみることにした。

 漁港の脇に備え付けられた階段を下り、背丈ほどの生い茂る枯れ草の中に人々が消えていったので、その踏み跡に続いた。ぬかるんだ小道を通り抜けると、そこには湖畔と小島が陸続きになり、幻想的な光景が目の前に広がっていた。
行く途中、ぬかるみで引き返そうとしていたおばさんに、「せっかく来たので行こう」と言って手助けしてやった。この人は、この近くに住んでいるのか、いろいろ話してくれた。

「琵琶湖の水が引くと、湖底に隠れていた砂利が現れ、水はけが良い遠浅ができるの。奥の洲と呼ばれる小島と湖辺とが陸続きになる」と話しながら、約200メートルの幻の道を指さしながら、あれこれ説明してくれた。
「左に見える島が竹生島だよ。でもねぇ、今は水位低下で船の着岸に苦労しているの」
「・・・・・・・」
「今回が初めて幻の道が現れたわけではないの。30年ほど前かなぁ、私も元気だった頃、貝をひらいにきたことがあるの。そうそう、一昨年も道が出現したの。毎年楽しみにしていますが、起こらない年もあるので、あまりあてにできないの」とほほ笑んでいた。

私は「来年も出現したらいいのにねぇ」と言って別れた。

 この出会いは、水位の低下がもたらすこの特別な瞬間が、私にとって琵琶湖の新たな魅力を発見することになった。

 ところで、琵琶湖は近畿地方に住む人々にとって欠かせない水源であり、この近畿の水瓶の水位低下は由々しき問題でもあります。1986年、1994年、そして2021年に琵琶湖の水位が異常低下しています。琵琶湖の水位は、流入する河川が100以上ある中、水の流出量は瀬田川の洗堰で一定のルールに従ってコントロールされているようです。もう少し天候の長期予想などを組み込んでみるといいのかもしれません。

水位の低下が紡ぐ琵琶湖の幻の道

水位の低下が紡ぐ琵琶湖の幻の道水位の低下が紡ぐ琵琶湖の幻の道

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Posted by nonio at 03:47 │Comments( 0 ) 滋賀を歩く
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