2009年12月28日 生涯現役のおもしろ健康科学 (森谷 敏夫)
森谷 敏夫(もりたに としお)の「生涯現役おもしろ健康科学」を拝聴する機会があった。学生が選ぶ、京都大学で受けたい授業No.1。女子大生には、ダイエットについても話されるのであろう人気のある京大教授である。
風貌は紳士風である。いきなり、関西弁交じりで慇懃無礼な口調で話し出した。とにかく、「コマネズミ」のようにステージを走り周り、エネルギッシュだ。
「吉本興業が呼びに来るほど話がうまいでー」と本人が言っていたが、「綾小路きみまろ」の長年かかって辿り着いた毒舌で罵倒するお得意の芸風にも引けを取らない話術だ。
2時間会場を沸かせ、約250人の聴衆者全員を引き込んでいった。 「活習慣病における運動の重要性を説き、有酸素運動を推奨する」堅苦しいテーマであるのに拘わらず、肥満の怖さと運動の大切さをきっちりと教え込まれ、運動する気にさせた。
ダンディでスリムな先生は、1日8km走っておられ、今年59歳、体脂肪率9.8%の肉体を持たれている。 ...お米好き。NHKためしてガッテン、生活ホットモーニング、土曜フォーラムなどテレビ出演、そして講演にも、引張りだこの評判の高い先生である。
中高年の太ったへそ回り85センチのおじさん、90センチ以上のおばさん、ダイエットの失敗した若い女の人は、「森谷 敏夫」と言う名前の講演があれば是非行ってください。衝撃的なエネルギーをもらえ、運動する気になりますよ。
森谷教授の持論は、寝たきりや肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病はすべて運動不足から来ているというのである。単に太っているだけと思っているが、医者から「肥満症」といわれると、これは立派な病気なんだと言い切られた。内蔵脂肪のたまった人は、お腹のなかに時限爆弾がオンになっている状態だ。肥満症、糖尿病、高脂肪症、高血圧症は死の四重奏といわれ、どれかひとつでもあれば死亡率は2倍、4つ揃えば16倍にもはねあがる。とくに、血管ボロボロ病といわれている糖尿病は、すごい勢いで増えている。昭和25年頃は米食中心の和食であったので糖尿病はほとんどなかったが、肉類、揚げ物など脂肪を摂取する食生活になってから糖尿病は激増していると警告された。
残された人生をイキイキと元気にすごすのか、それとも病に苦しみ悩みながら生きていくのか、そのどちらを選択しますか?というのが問いかけであった。
太りにくい体質を作るための7カ条は、1に運動、2に運動…7に運動とすべて体を動かすこと。
食事の在り方にも言及された。
そもそも、人類の歴史は絶えず飢餓と戦ってきた。その結果、1g当たり9kcalの脂肪は美味しく感じるようになり、体に溜め込んできたと言うのである。
昔、アメリカでラットを使った実験で、米でも肉でも食べて余ったエネルギーは脂肪に変わったという結果からヒトも同じと思われていた。 最近、スイスの科学者ジャクアの実験報告では、「人間を使って同じ実験をしたところ、ヒトの肝臓はラットと違って糖質を脂肪に変換する能力はほとんどない」という論文が発表された。
人間が24時間小部屋で、生活できるようにして、コンピュータで室内の空気を分析して、ヒトの体で何を燃料にして、何を燃やしたかが正確に計測した。さて、この結果、1日に1000Kcalの炭水化物をたべても10g以上の脂肪にならなかった。炭水化物は、肝臓と筋肉のグリコーゲンになったと言うのである。
人間の脳が動く栄養は、たった一つしかなく、それは糖質なんだ。 人間の脳とラットの脳は明らかに大きさや使用度が違う。ラットは脳より体の脂肪の方が生きるために必要で、摂りすぎた糖分は脂肪に変えて貯めておくらしい。ところが、人間は脳が大きく良く使うので、糖は、他の動物よりたくさん必要な栄養分なのでどれだけ糖をとっても脂肪には変わらないと解説された。
ここが大事なところで、ヒトの肝臓は、ラットと違って糖質を脂肪に変換する能力は殆どない。したがって、炭水化物を食べると肝臓と筋肉のグリコーゲンになる。その結果、三倍の水が結合し蓄えられので、体重が一時的に増える。
つまり、ご飯を食べると、今度は見かけより三倍体重が重くなる。いつしか女性の間でご飯をたべると太るといわれるようになった。
「ダイエットしたければ、米を食え!」エッ?と思うが、奥さん・おばさん方に聞き耳を立ててもらいたい。ご飯をちょっと少なくすると、実際より3倍も早くスパット痩せられる。
「焼肉の食べ方」の話がされた。
焼き肉屋さんへ行った時、焼き始めたら、あっという間の「早食い」「ドカ食い」、それにビールが脳に沁み込んで食欲のコントロールは野放し状態。やっと帰路につく頃に脳細胞が「主食の糖質(ブドウ糖)をまだたべてへんやん、どないしてくれる」と、ご主人様におでなりをする。
大脳のエネルギーはブドウ糖などで焼肉の膨満感はあっても、血糖値が上がらないと満腹感が得にくい。「ほな、駅前のラーメンでも食うて帰ろうか」になってしまい、完全にたべ過ぎ。胃の膨満感と脳の満腹感のダブルパンチで「メチャメチャ食いすぎてしもた」となり、反省…。たべたものは、脂肪細胞に詰め込まれる。
学生を焼肉店に連れて行く時には、必ずライスを先にとらせる。これをやらないとお金がいくらあっても足りません。(笑い)同僚と行くときは、お酒は自分で払う。そうすれば、食べ過ぎ、飲み過ぎが多少とも防げる。焼肉を食べる前にお茶碗1杯のご飯を食べておけば、いい具合に満腹中枢を刺激してある程度でお腹がいっぱいになって食べ過ぎないそうです。
では、どんな食事が良いのでしょうか。それは、お米中心の和食です。お米は、満腹感が得られやすく、食後の熱生産(食事をすると汗をかいたり、体が熱くなる感覚)を高め、ほとんど体脂肪にならないからです。果物、野菜も多く摂ったほうがいいでしょうと推奨された。
肥満になりたくなかったら、お米と味噌汁をしっかり食べ、運動して自律神経を活性化しなさい。「1に運動、2に運動、3・4がなくて5に運動」と。太りにくい体質にするため1日5分でいいから散歩すること。階段があれば「ありがとう」と感謝しなければ!。
続けて、体重が減るのと脂肪が減るのは違うとおっしゃった。
例えば、高橋尚子がフルマラソンを走ってとしょう。その時の消費するエネルギーは2500Kcal。もし1Kgの体脂肪をなくそうと思ったら100Km走らなければならない。仮に、体重が50Kgの女性が1Kgの脂肪をなくすには、やはり100Km走らなければならない。「ジョギングして2Kgもやせた」と言う人に聞いてみたい。「あなたは、いつ200Kmも走ったのですか?」と。
「あなたが減ったと喜んでいるのは、単なる水なんですよ」。
1日1Kgの体脂肪を取ろうなどと無謀なことを考えるからいけないのです。そんなことより毎日10分歩いてはどうでしょう。そして運動をするように習慣づけることです。階段は筋力アップのパートナーです。階段を見つけたら両手を合わせ最敬礼してのぼることです。
太りにくい体質を作る7か条
1)1に運動、2に運動3、4が無くて5に運動。
2)階段は筋力アップのパートナー
3)ストレスは過食の原因、ガンのもと。運動で心も体もリフレッシュ!
4)歩幅大きくグイグイ歩く。
5)長電話合間に出来るスクワット(森光子さんもスクワット毎日なさっているそうです)
6)快食・快便・良く笑え。
7)お腹のたるみは心のたるみ。
最後の言葉「食事という字は 人を良くすることです。好きに食べることは 餌といいます」で講演が終わった。
講師が執筆した下記書籍5冊を通読した。
「スポーツ生理学」朝倉書店1994年
「人は必ず太る しかし 必ずやせられる」 講談社 1999年
「からだと心の健康づくり」 中央労働災害防止協会2001年
「自律神経を鍛えればあなたも必ずやせられる」講談社2001年
「メタボにならない脳のつくり方」扶桑社2008年
「メタボにならない脳のつくり方」の本がお勧め。図解入りは「自律神経を鍛えればあなたも必ずやせられる」。若い女性は「人は必ず太る しかし 必ずやせられる」。専門家になりたいなら「からだと心の健康づくり」「スポーツ生理学」。
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京都大学大学院人間・環境学研究科
応用生理学研究室教授
略歴
1950年、兵庫県生まれ。1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給費留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授等を経て1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。専門は応用生理学とスポーツ医学。
しっかりと歩いておられるのですね・・・
すごい!!
山歩きに出かけない休日の朝は、散歩をしていたのですが・・・
最近は寒くてなかなか起きられず・・・う~ぅん!!
心を引き締めて今年からは再度、早朝散歩を
実行したいと思います・・・
自分に厳しく・・・ですね!!

いいお話ですね・・・うなずくことしきり・・・です
で、私はというと・・・・・日頃歩くことを心がけては
いるのですが・・・なかなか運動までは程遠い・・・
山歩きをそれにと考えてはいるのですが・・・
毎日は行けませんし・・・
どうすれば・・・もっと気軽に運動が出来るかを考えますね!!
これからも宜しくお願いします

良いお話を伺いましたので、家の階段5分に挑戦してみます。
先程コメント中にエラーが発生しましたのでこの辺で・・・・
来年もよろしくお願いします。
良いお年をお迎え下さいませ。
ガ~ン! と、頭を張られるぐいらいのショックを頂きました。怠惰な私にとっては、「喝!」です。運動・運動を、これから気張ってやるようにします。有り難うございます。
追伸) あなたのブログを、私のブログでも皆さまにご紹介して、運動の大切さを言いたいと思いますので、ご承知をお願いします。(*^_^*)

はじめましてカナ♪ すごい執筆力ですね〜 先生のお話と同じくらい熱が入ってますね〜 良いタイミングで読ませて貰いました(笑)今からラジオ体操を音楽を口ずさみながらやりますo(^-^)oありがとう!