海住山寺本堂の賽銭箱
木津川や大和の山並を見渡す位置にある海住山寺(かいじゅうせんじ)は、五重塔、仏像などがある古刹だが、私は、本堂の賽銭箱に刻まれていた次の言葉に惹かれてしまった。
「人の生は 得ること難く やがて死すべき命 今あるは 尊し」
ひととして、 この世に生まれることが難しく、有り得ないほど奇跡である。たとえ生を受けてもいつか死に絶える、と説いている。ひとを語るとき、「生」と「死」を別のものでなく、生死は「一つの如し」なのである。表裏一体の世界を持ち合わせているからこそ、今ある命が、有り難く、尊いと戒めている。
だから、生きていることの感動や喜びが、この一点において一層強く感じることができるのだ。
一日一日を精一杯生きていくために、私は『一日一生』と言う言葉を大事にしている。
阿闍梨の先達で千日回峰をめぐる
その後は三上山の山並みをバックに、鄙びた風景を眺めながら加茂駅を目指した。