ひぐらしに想いを寄せて

nonio

2022年08月25日 17:08

 
 三上山に登るのが、私の健康のバロメーター。ただ、上って下ってくるだけの質朴としたものである。 そんな中、四季の移ろいが、強く感じ取れる時宜もある。それは、真夏のヒグラシの大合唱である。
 
 鳴き声がどんなんだったか。 「ソワソワソワソワ…」「カラカラカラカラ…」だったのか。そうだ「カナカナカナカナ…」だ。“しっくり”する文字にするには、ひと手間かかる。
 この涼しげな鳴き声は、単に秋が迫っている事を教えてくれるだけでなく、私にはどうしたらいいか分からないぐらい、そこはかとなく物悲しく聞こえる。同時に、これといった深い訳けもないのだが、何とも心地よい音色でもある。

 ヒグラシの寿命は、長くて7年、セミの成虫になって、2週間程度と言われている。その一生は、ながながと2555日を薄暗い地中で暮らしている、地上にはわずか14日間。そういう訳で、その余命を全うするため、いちずに、鳴き声に込めているのであろうか。

 「三上山のみ夏知れる姿かな」と 18世紀の後半の三上山の光景を”士朗”が詠ったものだが、今なお三上山は、樹木に覆われ黒々している。
昼間なのに森林に覆われ登山路は薄暗く、登っていくと、ヒグラシの鳴き声に包まれる。
 どこからともなく、ヒグラシが鳴き出すと、森林を包み込むような大合唱が起こる。ひとしきり鳴くと、汐が引くように鳴きやむ。鳴き疲れるのであろう。一瞬途切れ辺りが静まり返る。そして、再び合唱する。
どこかに指揮者がおるかのように、はじめと終わりが揃っているがとても、謎めいている。

 このゆったりとした「ゆらぎ」が、私の生体リズムにあっているようだ。

 さて、山道で仰向けに足を閉じ気味に転がっていた。
ひらいあげると、いきなり羽根をばたつかせた。
そっと、草むらにほり投げてやった。が、再びひっくり返ってしまった。
 死んだふりをしているわけではない。死期が近いのである。悲しいかな、背中に重心があるのでセミは必ず仰向けになる・・・・。





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