うすひらたけ/三上山のキノコ
三上山の山中で、ボランティア仲間と、立ち話をしていた。
そこに割って入ってきた見知らぬ人が、「近くで薄平茸(うすひらたけ)を採った」と言いながら、Kさんにビニール袋を手渡した。
「白い色のキノコは珍しいなぁ~。食べられるの」と、私が疑い深く話しかけると
地元の人なのであろう、「この辺で食べられるキノコは、10ケほど知っている」と自慢げに話してきた。
「そのキノコどこでとれた」と尋ねると「東屋のあるT字路」と言った。
私は、三上山をかなりの頻度で訪れるが、上って降りてくるだけの単調なものである。快汗と爽快感が得られるが、目新しい興味を抱くことは、ほとんどない。そんな中、食べられるキノコの在りか探しは、そそられる問いかけとなった。
大抵、珍しい山野草や、キノコなど自生している場所は、真面に言わない。誰もが秘密にしておきたいものだ。東屋といっても、かなりあり、T字路はいたるところにある。
取り敢えず、「東屋」という言葉が先に口にしたので、5ケ所ほどの周辺を念入りに歩き回った。更に、キーワード「東屋」そして「T字路」を満たすところを、隈なくさがした。だが、見出せない。「東屋」そして「T字路」は、AND条件ではなさそうであった。
無暗に探しても徒労に終わるので、対象物が「白色」であったことを着目してみた。秋の褐色のくすんだ色の背景色の中で、白色探しは容易であった。丁寧に「東屋」周辺の雑木林を一本ずつ根元を見回ることにした。
幸運にも二股の生木の一方が切株になっており、この枯れかかったところに、すぐに白いキノコを見出した。 やはり、東屋とT字路とは、かなり離れていた。
kさんに写真を送信して確認してもらった。
「すごい!!」
そのとおり、ウスヒラタケです。
よく見つけましたね。
マツタケにしても、秘密の場所は教えませんね。(笑)
さて、野生のキノコを食べるとなると、勇気がいるものである。
「大丈夫なのだろうか」と、毒キノコのことが頭をかすめる。一方では「このキノコ、美味しいよ、食べてみないかい」悪魔が囁く。
山で採ってきたキノコは「食べるか! 食べないか!」と気を持たせる蠱惑的(こわくてき)な食べ物である。
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