早春に咲く梅花黄連/希望が丘

nonio

2017年03月29日 07:52

  
 早春のある日、Kさんから「希望が丘にも”梅花黄連”が巡ってくる時節・・・」との便り。この4文字の漢字は何なのか一瞬戸惑ったが、声を出して読むと「バイカオウレン」。耳にしていた花名である。
私は出合ったことがないが、気にかかっていた山野草のひとつだった。ところで、Kさん、ただ「探して」としたためてあった。咲いている場所がわからないのであろう。

 折角、この山野草に出会うには、場所・時期の2ツが分からないと。
ひっそりと自生している正確な場所は判らないが、仲間内の話の端々からほぼ予測はついていた。問題は、時期だ。山野草の花の盛りは驚くほど短く、タイミングが肝要である。

 早速、Hさんに確認したところ、
「この10年、3月25日には開花している」との貴重な情報をもらった。その後更に、「何株が開花した」との連絡を受けた。人に出来るだけ出会わない平日、いそいそと奥深い希望が丘へと向かった。 
 柔らかい日射しが射し込む渓谷の水は温み、辺りの草木の芽吹きもちらほら、一歩また一歩と、季節が動いていた。
小川が、右から左へたゆたゆと流れ、幽かなせせらぎの音だけの世界が広がっていた。 「細流(せせらぎ)」とつぶやくだけで、なぜか穏やかな気持ちになる。 明るい谷筋を、眼を凝らしながら、川の流れる際をゆっくり、丁寧に歩いた。愛しい恋人と待ち合わしているかのような高揚感に包まれた。

 この花は、”梅花黄連”。白色で、丸みのある白梅に似た花が咲くので「梅花」と呼ばれている。黄色い根から「黄連」と呼ばれ、舐めると、苦く、漢方薬に用いる生薬らしい。手がかりは、根が黄色らしが、掘って探すわけにいかなない。手がかりは、白い花と葉が深く切れ込んでいる山野草だ。

 何回も日参して、辺りの地形も分かるようになったある日、樹木越しに微かに咲く白い花を見つけた。近寄ってみると、 まだ寒いこの時期に早くも春を告げるバイカオウレンだった。

 これで、希望が丘・三上山周辺の31番目の山野草になった。











関連記事