昔の自分に出会えるフキノトウ

nonio

2012年03月17日 12:59

 畑の柿木の下で、蕗の薹が堆積した落ち葉を押しのけ、顔を出した。

 一週間前から、蕗の薹の顔を「今か今か」と待ち望んだ。が、草むらには変わりが無かった。 今年は寒かったので、発芽が遅れ、つい、行きそびれていた。

 そんな矢先に、一挙に、蕗の薹が「あちらこちら」と競うように顔をもたげていた。その生命力、繁殖力の強くに感じ入った次第。それは、瞬く間に起こった。

  


 独特の香りと苦さが春の息吹を感じさせる。 苦味は、その香りと相まって、まるで森の中にいるようにさえ思えてくる。このほろ苦さは、遠い昔のもう一人の自分に逢わせてくれる。 

 半世紀前、一人で「ちくま号」の夜行列車に乗り込み北アルプスへよく出かけた。米と保存食の蕗の薹味噌を持って。山では、贅沢な食べ物より、素朴な食べ物が体によく合う。大自然に寝起きし、飯ごうで炊いた熱々の飯に蕗の薹味噌をのせて頂いていた。






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