TVで「醒ヶ井の梅花藻が8月末まで見頃」と報じられていたので、妻と出かけた。 JR 醒ヶ井駅前から交差点を南へ行きすぐに左折、道なりに進むと「観光客様無料駐車場」という看板を見つけ、自動車を停めた。 地蔵川沿いの中山道は、昔ながらの風情のあるたたずまいが並んでいた。朝が早かったのか見物客も少なく、ひっそりしていた。
ゆったりと散歩していた上品な年配の女性が親しげに、
「水面に顔を出して咲く花は、梅の花に似て可愛いネ」と話しかけてきた。
私は、この花は水の中で咲く“水中花”と決めつけていたので、「みなもで咲く」とは何となくしっくりしないなぁ~と思っていると・・・・(沈黙)。
言外を察したのか「でもネ、湧き水が多くなったときには、花が水中に沈んでしまうの」と付け加えた。花は受粉を目的として咲くのだから、常時水中にいるもでないと心の中で、自問自答した。
間を置いて、TV画面では赤い花が見えていたので、「梅花藻は可憐な赤い花も咲く」と尋ねてみた。
「ピンクの花は、さるすべりの木の花だヨ。上流から流れてきたもの。流れを調整して、白い梅花藻に添ってこの花びらが自然に咲いているようにしているノ。綺麗でしょう」。だが、私は、敢えて写真に収めなかった。
「居醒の清水(いさめ)は、梅花藻を育てているが、美味しい醤油もそだてているヨ」と。
この女性は、程近くで、創業110年にもなる老舗の大女将であった。