烏丸半島のハス激減

nonio

2016年07月29日 06:52

  
 烏丸半島は時折訪れます。先日、水生植物公園の横の東側の琵琶湖岸沿いに歩いていると、「何だかすっきりしているな~」と思いながら、言いようのない違和感を覚えました。

 そうなんです。ここは、国内最大級のハス群生地として知られ、 例年7月ともなると、湖岸一面にハスの葉が生い茂り、淡紅色の美しい大輪の花が見られます。この花や葉っぱから、極楽浄土を彷彿とさせるのでしょう、大勢の方が訪れるところなのです。

 ところが、今夏はハスの葉っぱも僅かで、花がまったく見られません。

 草津市が「生育、開花の兆しが見込めない」と“ギブアップ宣言”するほどです。同市公園緑地課の担当者も「20年以上も観察し続けているが、経験したことがない」と嘆いているようです。
 観光客を集めていた「ハスクルージング」もキャンセル客が続発。業者は人気の高まりを見越して船を増やしただけに、頭を抱えています。

 激減の原因は、今のところ不明ですが、琵琶湖博物館の主任学芸員は、「例えば動物による食害によって新芽が食べられてしまったとか、土壌の状態が悪くなってハスの地下茎が生長できなくなった。いくつかの原因が考えられる」と言われています。 別の専門家の意見として、元の大群落に戻るのは、10年以上かかるかもしれないとの予測もあります。

 たかが、ハスだと一笑されるかもしれませんが、人と水生植物とは古くから密接なかかわりがあります。日本人の主食は米です。稲も水生植物なのです。背後に何か大きな「生態系の変化」があるとするならば、油断ならぬ出来事なのです。

7月の東側の琵琶湖岸沿いのハスがない状態



 ハスに代わって、黄色い花の外来水生植物オオバナミズキンバイが繁茂していました。ここ数年で急激に増え続け、ヨシ群落への影響があげられ、魚の産卵場所が減り、船が通れなくなるなど、漁業関係者を悩ましています。琵琶湖の生態系に影響を与えるので、2014年6月より琵琶湖で特定外来生物として指定されました。

外来水生植物オオバナミズキンバイ



   2012年烏丸半島のハス様子      2016年烏丸半島のハス様子




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