日付 :4月16日
山名 :東山・海津大崎
コースタイム :永原駅 9:15 万路越え 10:30 電波反射板 13:00 東山 13:20
別荘地(海津大崎遊歩道) 14:40 マキノ駅 16:00
東山と言えば、京都と思うだろう。海津の東山と言っても「その山どこにあると」と聞き返されるだけだ。でも、桜で有名な海津大崎と言えば、「日本さくら名所100選」に選ばれており、近畿の桜の盛りが終るころに満開になる。「もう一度花見をしょう」と、大勢の人がドット繰り出してくるところである。 ここに、東山がある。だが、殆どの人は、湖の碧、遠くに望む竹生島の景観に目が奪われ、山側にせりあがっている山に無関心である。むしろ、迫ってくる山は、あまりにも道路を狭くしているので、邪魔だと思っている人が多い。
さて、この山の山名を知るきっかけになったのは、2007年前に遡る。琵琶湖一周に出かけた時、交通の便が悪い琵琶湖北端部の付け根部に位置するところに、二つの出っ張った半島があることを知った。西側が海津の「海津大崎」で、東側が菅浦の「葛篭尾崎」。
さらに、歩を進めマキノ駅・近江今津駅の中間の近江中庄駅辺りの湖畔から眺めた山並みが、とても印象深く頭に刻み込まれていた。優雅な稜線を持った山裾が琵琶湖へと沈み込んでいた。この時、初めて東山と言う山名を知り、この山を意識し始めた。2010年4月号 「山と渓谷」900号では、この東山が「全国隠れ名山」として紹介され、より詳しく知った。
私は、地形を理解する場合、地図を調べるより、まず、実際歩くことにより、目にした地形をそのまま脳裏に収めていく。雨であったり、晴れであってもお構いなしに、季節も無論。またその時の体調も含めてありのまま受け入れている。つまり、感性を大切にして生きているようである。
その後、雑多の光景の中から、これはと気に入った光景を引き出してきては、地図を開けては名前を憶える。それをインデックスとしている。しかし、名前は、単なる”見出し”なので、いつまでたっても、それほど重要視していない。
マキノ駅と近江今津駅の中間あたりにある近江中庄駅の湖畔から眺めた東山の稜線
東山の水際まで下山して、「海津大崎」の花見をしょうと言う「古道と桜の園をつなぐ湖の半島の尾根を歩く」計画に参加した。今年の海津大崎の桜は5日に開花し、11日満開となり、20日ごろまで見どころである。そこで、16日花見山行となった。
永原駅のコーナーには花見の観光客が詰めかけていたが、我々と同じように粋な花見をおこなう人は、我々パーティとその他2連れ夫婦の二組だけであった。 「山と渓谷」で紹介された割には、このコースを辿る人が少なく、まだまだ、隠れスポットである。
長閑な田園帯を通り抜け、獣防止柵の扉を開けて林道に入り、万路峠に通じる古道に導かれて進んでいった。
永原駅から長閑な田園帯を通過し背後の山並みを目指す
しっかり整備された植林帯に付けられた林道
杉の植林に囲まれた薄暗い古道をゆっくりとした坂道を登りきると、地蔵堂にお地蔵さんが祀られていた。地元小荒路村の人達によって赤い布が付けられ、お堂には平成10年再建と記されていた。また、この峠の通称名は、万路峠と書かれているのだが、設置されている標識には万治峠となっていた。
小荒路から万路峠を越えて大浦へ抜ける「万路越え」と呼ばれる古道は、湖西と湖北を結ぶ生活道とし重要な道筋であった。でも、高島市マキノ町海津の湖岸の道が、昭和10年から昭和11年にかけてトンネルが掘られ、開通後、万路峠も役目が終ってしまった。 滋賀県には琵琶湖を中心として山に囲まれ、地形的に峠が多く見受けられる。古くから往来してきた峠には、その土地の歴史であり、文化が詰まり、その地域の人柄まで反映しているように思えるので、古い峠に訪れるのが楽しみにしていた。
ここにやってきて分かったのだが、峠の西直下まで林道がつくられ、地蔵堂の後ろには、大木の残骸もみられ、昔日の峠らしい風情は無くなっていたのが残念であった。
その昔湖西と湖北を結ぶ万路峠
万路峠から半島を南北に500m前後の尾根伝いに、進んだ。送電線を越えていくと、尾根道の幅が広くなり、踏み跡が細くなり、遂に進むべき方向を見失った。この辺りに黄色と黒のテープがあちこちに巻かれていた。多分迷いやすい個所のようであった。皆で手分けしてルート探しだし、峰山(532m)にたどり着いた。 主稜線を外さなければ問題がないようだが、この辺りあちらこちらに踏み跡がある。仲間のN氏は、ここに足を踏み入れたのは4回目であるが、何れも迷ってしまったと言っていた。ここは、西側を辿る方がよさそう。
唯一迷ったところ
植林と灌木が入り混じった尾根道を伝っていった。森林帯を抜けると、 電波反射板のある見晴らしのよい広尾根に出た。 ここまで、木々に邪魔されて琵琶湖すら見えなかったが、ここに来て初めて視界が開け、竹生島が見えた。山の上から、多少靄がかかっていたが、美しい姿を浮かべていた。
峰山付近には、木の幹に鋭い爪痕が何か所もあった。熊が搔いたものだ。ここはカモシカ・猪など野生動物が生息域する領域であることを改めて分かった。ここには、手つかずの自然がそのまま残されていた。
植林帯 樹木越しに東山
電波反射板 熊が掻いた爪痕
唯一視界が開け竹生島を眺望
この稜線の最高点東山(594.8m)の山頂を踏んで、下山にかかった。湖水の標高が85m、ほぼ500mを一挙に下るのだから、かなりの急勾配。赤テープの印を頼りに進んでいった。途中、こんな山中に、ただならぬ気配がする朱色の鳥居に守られた祠に出くわした。その脇には、意味ありげな大岩があった。神霊は、すでに海津天神社境内に移されているようだが、ここが、この神様の起源の場所なのであろう。だから、鳥居と小さな社殿が残っており、祭祀も続けられているようで、手入れがされていた。 ここで一休みをして再び下山が続いた。やっと、たどり着いたところが別荘地の車道であった。
海津大崎の桜並木道路には、車の通行が相変わらず多い。 何時もは、自家用車で大渋滞気味の琵琶湖沿いの県道557号線をソメイヨシノの花のトンネルを通過しながらの花見であるが、今回は山を下山しながらの粋な花見となった。 山での疲れを桜の花でいやしながらマキノの駅まで歩いた。
ただならぬ気配を醸し出す大前神社
海津大崎の遊歩道到着地点
海津大崎の並木道の桜