5合目小屋から谷川を離れ、急勾配の階段となった。今までの気楽な歩きから一変して喘ぎながらの急登の連続となった。ササ帯を抜けると国観峠に出た。ここは、展望もよく、大勢の登山客が一休みしていた。
この峠から赤土のぬかるみの道を、ひとしきり上り詰めると祖母山の頂上に至った。
国見峠広場から祖母山を望む
祖母山の頂上からの眺望
苦労して登ってきた祖母山の頂上直下にアケボノツツジが迎えてくれた。このツツジは、標高1000m 以上の高山地帯の岩場で自生しており、その場所まで行かなければ出合うことができない厄介な植物であると共に愛くるしい。4月 下旬~5月上旬に開花するので、今回の山行では時期的に遅いので、出会うことが出来ないと半ば諦めていた。が、祖母山の頂上で見ることができ、幸運であった。風も強く吹きさらしの岩場で、勝手気ままに無造作に伸びた枯れ木のような枝に、鈴なりにかよわい花をつけていた。花弁をよく観ると、風に打ち負かされ、傷んでいたものもかなりあった。
自然界は不思議だ。こんな過酷な環境下では、堅牢な花弁をつければいいのに・・・・。
頂上にて咲いていたアケボノツツジ
アケボノツツジは、夜明けの淡いピンク色が「曙」の色に似ている事からその名がついた。花は枝の先に1つ付き、直径3~5cmほどの丸みがある花びらをつけていた。可憐な曲線を持ち合わせていることからして、優しい性格をした植物だろうと勝手な想像をしながら、この場で、しばし休息をとった。
満足して、大分港から出発した神戸六甲アイルランド港に戻ってきた。年を重ねてくると、後どれだけの山を登れるかわからないが、常に好奇心を絶やさず、挑戦していきたい。