高畑山(鈴鹿山系)
日付 平成21年2月15日(日) 天候 快晴
山名及び山域 高畑山・溝干山 (鈴鹿山系) 標高773m 標高差 420m
コースタイム JR野洲駅 8:00 近江桜緑地公園 8:15 登山口 9:00~9:35出発
鏡岩 9:45 ナイフエッジ10:40~10:50 高畑山 11:20~12:00(昼食)
坂下峠 12:50~13:05 鈴鹿峠 14:05 登山口 14:15
地図
高畑山・溝干山のコース
高畑山・溝干山は、鈴鹿山系の主峰御在所岳・鎌ケ岳から南に遠く離れた位置する「鈴鹿南部」に分類される山群にあります。
山域は、滋賀・三重・京都にまたがっている800mに満たない山並みです。
主脈は、国道1号線が走っている鈴鹿峠から高畑山、溝干(みぞほせ)山、更に那須ケ原山・油日山と続いています。その中で、高畑山、溝干山は、鈴鹿南部の縦走の通過点のひとつとして扱われ、あまり目立たない山ですが、山の好きな人にとっては目を着けるところです。
コースとしては、鈴鹿峠から高畑山から溝干山を経由し坂下峠から、長峰を通らずそのまま林道を下ってもとに戻ります。
このコースを選択するにあたって、昨年11月3日(月)、下見に行ったとき、荒らされることなく自然がそのまま残されたところで、山野草アケボノ草を見つけた。 高畑山の下見
当日、朝早く自家用車に分乗して、国道1号線を走らせていた。
ラジオから「田村神社の厄除祭は、14万人の人々で賑います」と聴こえた。
田村神社といえば、……確か、下見のとき田村神社跡の石柱を右に見て、鏡岩の分岐まで進んだことを想い出しながら聞いていた。
水口に住んでいる仲間から、「国道1号線の道路は渋滞しまくりになる」と。更に、ラジオから「『厄よけの神』としても有名で、毎年2月18日(水)を中心に3日間、神社の大祭が盛大に行われる」と聴こえた。
ところで 「今日は何曜日」の問いに。誰かが、「日曜日」と答えた。続けて「ところで今日は何日」。「15日」。
毎日Sundayの我々には曜日、日付にあまり関心をおいてないようで。
仲間から「あぶなかったな」……。
田村神社前の大きな駐車場は、普段は自動車が止まっていませんが、かなりの台数が見られた。なにか気ぜわしく感じられた。
明治40年建立と書かれた田村神社跡の石柱との関係が分らなかったので後で調べた。 むかし、鈴鹿峠に一匹の鬼が住んでいて、峠を通る旅人の姿が鏡岩にうつるたびに捕らえて食べてしまった。これを伝え聞いた坂上田村麻呂が鈴鹿へやってきて鬼を弓で射ると、矢を受けた鬼は岩の上にころがり落ちて息が絶えたということです。鈴鹿峠に棲む悪鬼を退治したという言い伝えから神社を建てられました。現在は、土山に神社を遷座されました。
さて、今日は、クラブのメンバーの方々を案内しなければなりません。
鈴鹿峠は、南部に位置するので積雪は少ないが”坂は照るてる鈴鹿は曇る”として知られる峠であり、季節風の通り道にあたり、風が強いところで、天候を気にしていたが、絶好の山行き日和になり一安心となった。
鈴鹿峠の石灯篭「万人講常夜灯」と呼ばれるところに集結し、出発した。
のどかな茶畑の中の道を南へ向かうと、登山口があった。道標にそって鬱蒼とした檜の林を進むと鏡岩の標識があった。登山道から少し逸れて、伝説のある「鏡岩」に寄って見ることにした。岩上の見晴台からは、昔は、旅人を見張っていたのでしょう。今は、上下線に分離されている国道1号が、手に取るように見えた。
三重県指定天然記念物「鏡岩」からの眺望
もとの道に戻って、檜林が切れると自然林帯となり高度を上げて行った。小さなアップダウンを繰り返しながら尾根道を進むと、やがて、このコースの名物になっているナイフエッジと呼ばれる花崗岩が風化した露岩帯となった。ザレ場になった痩せ尾根を10分程かかり、全員慎重に渡りきった。
ナイフエッジ上部から登山の様子
ガレ場を右に見ながら回り込み進み、東峰に到着した。さらに、少し下ると西峰の773m山頂が見え、一挙に上りきった。12時前。高畑山の頂上は、高い木が無く素晴らしい眺望がひろがり、正面に見えるでっかい山塊の雨乞岳、鋭く尖った鎌ガ岳。そして、11月22日(土)、 撤退したタイジョウの僅かに見えるピークも確認した。タイジョウ
そして、霞みにかかって見えにくかったが、わがふるさとの端正な三上山も分った。
鈴鹿山系の雨乞岳、鎌ガ岳など
これから、下山していく方向に目をやった。高畑山とほぼ同じ高さの溝干山、その後ろには、那須ケ原山・油日山と思われる峰々が連なっていた。
下山する溝干山など
さらに、360度振り向くと、高畑山と対峙するように、黒々とした長峰の山並みが東西に線をひくように一直線に延びていた。その後ろには、幾重にも山並みが見えるが、小生にとっては、山名も分らない未知の世界であった。
「あっち、こっち」と眺望を楽しみながら、日溜りの中で、ゆっくりと昼食をとり、しばしの至福の時を持った。
黒々とした長峰の峰々
ひとしきり風景を楽しんだ後、下山にかかった。潅木を縫って溝干山から坂下峠へと向かった。あまり人が入っておらず山道は、笹に覆われていたが、道跡は、はっきりとしていた。両脇には、低木のアセビが繁茂している尾根通しの快適な歩行となった。溝干山頂付近から、振り向き、高畑山を眺めると、山中を歩いていると気が付か無かったが、ピークが二つある秀麗な山容であることが見て取れた。
那須ヶ原山が見える辺りから一気に急勾配の下山路となった。右側の尾根はかなり崩壊し、年々侵食が進みルートも変更されているのだろう。登山路も途中から消滅していたので、迂回路を辿って坂下峠に降り立った。
真っ直ぐ進むと那須ケ原山・油日山への縦走路になるので、ここから林道を下ることにした。
低木のアセビが繁茂している尾根通し
坂下峠は、鈴鹿峠の麓にある集落、坂下と滋賀県甲賀町を結ぶ峠です。坂下と甲賀とつなぐ林道ですが、荒廃がひどく、絶えず土砂が崩壊し、林道の機能としては、失っているように思えた。 坂下の水
坂下峠の荒廃状況
鈴鹿峠の間道として付けられた立派な道路を下り、道路の入口に取り付けられたゲートを越えて、国道1号線高架橋を潜り、上り1号線(伊勢方面)に出た。下見の時、道探しに苦労をしていたところ、偶々、地元の人が通りかかり教えてもらい、切り抜けたところだ。
ここを渡り、国道沿いに付けられた東海自然歩道に進んだ。この整備された道は、伊勢坂下から若宮へと通じている鈴鹿越えの歩道です。ここには、鈴鹿越えを楽しむためにハイカーが、訪れてくるところのようです。
坂下峠から、谷筋の代わり映えのしない林道を只々歩いてくると疲れも出てきます。
出てくる言葉は「まだか…」これです。
林道の入り口に付けられた車止めゲートを通り抜け、国道1号線の出合にきた。ここからが大変。皆さん、読図も出来、方向感覚も優れています。国道1号線沿いの歩道から、一旦、鈴鹿峠とは反対の方向に下ったため「ブツブツ……」。
ここを下る道を、下見で1時間以上かかったと説明しても理解してくれません。その内、一人が、片山神社を通りかかると、
「この道通ったことがあると」、エールを送ってくれてなんとなく収まった。
いずれにしても、鈴鹿峠の狭いところに、国道1号線の上り・下り専用道路が引かれており、おまけに間道もあるため、歩行者にとっては、苦労するところでした。
全く人気がない片山神社前を右へ、ここから、旧街道の雰囲気をかもしだす急な石畳が始まった。
歩きにくい石畳の道が、修理せずにそのままになっているところが憎い。国道1号線の陸橋の下を潜って、馬の水のみ鉢が置かれた峠道を登りつめたところが、鈴鹿峠であった。ここは、追い剥ぎも出たところでもある。旅人も急いで通り、馬も引かれてあえぎあえぎ荒い息を吐きながら登ったのだろう。この峠越えは、大変だった事が偲びばれた。
この片山神社から、遠回りだが陸橋の下を潜ってくるルートは、道路を横断しない安全な方法であることを、やっと理解してもらった。今度は、「なるほど」と頷いた。
そうこうしているうちに、茶畑が一面ひろがっている出発点に帰ってきた。万人講常夜灯の横で、”ぜんざい”パーティで盛り上がった。
鈴鹿峠付近の広場
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