2011年03月23日    関西電力原発大丈夫か

  3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とする国内史上最大の巨大地震が発生した。東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)は、巨大な地震と10mを超す津波が襲い、東北地方に壊滅的被害をもたらした。市街には、船が内陸にまで押し上げられ、おもちゃのように自動車が片隅に追いやられ、建物らしき基礎の痕跡だけの光景に様変わりしていた。関西電力原発大丈夫か 

 中でも、福島第一原発の放射線により、半径20km圏内の完全な避難と、20km~30km圏内の屋内待避が設定された。事故の深刻度を示す国際原子力事象評価尺度は「レベル5」となった。
 
 これは、米スリーマイル島原発事故と同じ評価である。米国では、これにより新規建設の着手が30年間、出来なかったのだ。
 
 何よりも、「日本は被爆国であり、核燃料は恐ろしいものである」と分っていた。が、原子炉を自動停止させたにも拘らず、ここまで加速度的に暴走することに危機を覚え、より一層恐ろしさを植えつけてしまったようだ。既に使用済み核燃料でさえ、火災・水素爆発まで引き起こしてしまうことを目の当たりにしてしまうと、推進派が、原発の安全神話を話しても受け入れ難く、反原発運動が盛り上がるだろう。           

 すでに、世界中の原発については、引け腰になってしまった。
米国では、原子力発電所の数は1990年の111基をピークとして減少している。昨年オバマ大統領が、地球温暖化の危機に伴い、原子力エネルギーの見直しの方針転換を行ったが、福島第一原発の大事故が、こうした流れに水を差すのは確実のようだ。ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、同国の原発の稼働年数を2030年代半ばまで延長する計画を3か月間凍結すると発表した。続いて 東南アジヤ各国の原発建設計画にも影響を及ぼしそうだ。

世界中の原発政策が転換を迫られ、福島第一原発の成り行きを見守っている。

関西電力原発大丈夫か 福島第一原発は水素爆発で天井が吹っ飛び、むき出しの鉄骨の衝撃的な映像が配信されてきた。この映像からすると壊滅的と思われた。これでも内側の格納容器(2号機の格納容器の下部の損傷)、原子炉は問題がないとの事で、大型ヘリの水投に続き、大型消防車両などが地上から放水が行われ、かつ電力の復旧作業が懸命に行われている。

 このような未曾有な原発事故に発展していったのは、原発本体の設備でなく、周辺設備であるECCS(緊急炉心冷却装置)などが作動しなかったことが、直接原因だと言われている。「このシステムは、本来の電源が失われても、非常用電源は作動する」ことになっていた。だが、津波のため予備電源用のディーゼル発電機が地震後作動しなかったため、炉内の水位が低下することにより、核燃料棒の上部が露出すると共に、水素が発生して爆発を生じた。事態は放射線漏れとなった。

 要するに、福島第一原発の設計基準は、地震の揺れは想定内であったが津波は想定外と弁明されている。つまり、津波の高さが5~6mを想定されていた。
 だけど、平安時代の「貞観地震・三陸津波」の連動型地震といい、江戸時代の宝永地震(東海・南海・東南海連動型地震、M 8.4~8.7)は、今回の地震とほぼ似た連動型超巨大地震が既に発生していたことが窺えたはずである。津波の高さの設定基準はむしろ想定外では済まされない。これは人為災害にほかならない。

 また、今回、事故を起こしたのは「マーク1」という沸騰水型原子炉の一種で、60年代にGEが開発されたものであるらしい。格納容器が小さく、設備建設費が安く済む原子炉である。既に、米ニューヨーク・タイムズも、米原子力委員会の専門家が1972年、この原子炉は水素がたまって爆発した場合、放射能を封じる格納容器が損傷しやすいため、「使用を停止すべき」と報じたタイプと言われている。何れにしても、水素爆発でいとも簡単に天井部が崩落してしまったことは、原子炉の形式の再検討並びに水素が空気中の酸素と混合させない設備上の工夫が必要と思われる。

 今回の 東日本大震災経済的損失はすくなくとも数兆円、最大24兆円余とも言われている。この損失金額を念頭に入れて、設計基準、設備、運転管理など総ざらいの見直しをしてもらいたい。

 ところで、 JAIF社会法人 原子力産業協会の日本の原子力発電所の立地点←クリックでは、北は北海道から南は鹿児島県まで、13道県に17か所の原子力発電所があり、54基・4884.7万kWの発電用原子炉が運転、日本の電力の約3割を賄っている。(最終更新日2011年3月2日)
 
 現在、我々の暮らしは、原発の電力で支えられている。一旦、快適な生活を享受している暮らしから昔のレベルに戻るわけには行かないだろう。確かに原発をやめるべきと言う意見も多くあるが、原発にこれほど担われている事実からして、原発の万全の方策を尽くす道を選ぶべきと思う。
参考日本原発位置←クリック Ⅰ−3 原子力発電所立地図. 平成17 年度末(2005 年度末)www.geocities.co.jp/Technopolis/6734/img/ritti0049.pdf


 では、近畿で気になる原発は、敦賀から舞鶴までの区間に有名な「原発銀座」と呼ばれているところがある。ここには、関西電力が福井県に原子力発電所を11基保有している。

 この津波に対する設計思想は「大きな津波を起こす海溝プレートの境界近くにない」として、関西電力が想定する津波の高さは0.76~1.86mである。驚くべき数値である。

 この一帯は、確かに海溝プレートがないが、原発が集中している若狭湾の敦賀半島には多くの活断層が確認されている。中でも「浦底断層」は危惧されている。一刻も猶予ならない事態である。至急改善をすることを期待する。

 福島第一原発の八木誠社長は20日、東京電力福島第1原発の事故を受け、原発の地震・津波対策に500億~1000億円規模の資金を投じる考えを明らかにした。西川知事は会談で、福島第1原発で原子炉を冷却する機能が失われたことを受け、非常時の電源確保や冷却に用いる海水の取水機能強化といった安全対策の拡充を要請。これに対し、八木社長は「当社の資源を全面的に投入し、全力で取り組みたい」と答えた。具体的には、海水ポンプの防護壁や、予備電源となる空冷式非常用発電機の設置などを検討する。また、外部電源が失われないよう送電線の強化にも取り組むという。

 滋賀県の嘉田由紀子知事は 福井県の日本原子力発電敦賀発電所から滋賀県境までは13キロしか離れていないため、嘉田知事は「原発銀座の福井県に津波の前例はないが、地震はどこで起きるか分からず油断できない。想定を超えることが起きた時に何ができるか、命を守るために最大限努力する必要がある」と述べた。

さらに付け加えるならば、「琵琶湖は、関西圏の水瓶である」仮に放射線による水質汚染が生じれば収拾が着かなくなるだろうと思っている。

 



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Posted by nonio at 09:24 │Comments( 1 ) 地震
この記事へのコメント
計画停電プログラムの泥縄性ひとつをとって
も明らかですが、こんどの原発事故は、
「東京電力じゃなかったなら起こらなかった
かも」に一票入れときます。ここで一句。
「非常用、外部電源は雨ざらし。これじゃ
非常時役には立つまい。」(原発の館屋の
中に設置する閉鎖系になぜしなかったの
でしょうか。)
非常時、完全停止プロセスに関する、電力
会社のシミュレーション能力の欠如ですね。
from 関東
Posted by とおりがかり at 2011年03月23日 11:40
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